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8月16日-17日

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7月27日
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 私がスタディセンターに到着したのは午後7時15分。集合時間の15分前だ。すでに多くの生徒たちとそのホストファミリーが集まっていた。最後の別れを惜しみ、写真を撮ったり抱き合ったりする姿に、こちらも感動を覚えた。この場にいる多くの人たちが涙を流し、言葉をかけ合っている。お互いの間に強い絆が生まれたことが、その姿から十分すぎるほど伝わってきた。私もホストファーザー、ホストマザーと写真を撮り、言葉を交わし、別れの時が近づいていることを実感した。全員が集まったのは7時40分ほど。多少時間を過ぎたものの、全員体調は良さそうだ。バスの前で集合写真を撮り、ついにバスに乗り込む。いよいよお別れだ。皆、再び強く抱き合い、涙を流し、バスに乗った。バスが動き出すときには、窓から大きく手を振り続けた。ホストファミリーも手を振り返し、笑顔で見送ってくれた。バスの中では「まだ帰りたくない。」「もう少し一緒にいたかった。」との言葉が聞こえた。TCのイヴォンとシェリル、それぞれの娘であるウィローとダニエルは空港まで見送りに来てくれるので、もうしばらく一緒の時間を楽しむことができた。
私の後ろの席に座っていた生徒たちはダニエルとのガールズトークで大盛り上がり。他の生徒たちも写真を見たり、おしゃべりをしたりと大にぎわい。バスは1時間ほどかけて9時ぐらいにシアトル空港に到着したが、生徒たちにとってはあっという間だったようだ。チェックインまで少し時間があるが特にすることもないので、広がらないように並んで時間が過ぎるのを待つ。途中、預ける荷物が50ポンドをオーバーしていないか重さの確認をした。数人の生徒たちが「50ポンド超えている!」とあたふたし、スーツケースの中の荷物を手荷物カバンに移したり友達の荷物に入れさせてもらったりしていた。トイレ休憩を済ませたところでチェックインの列に並び、その時を待つ。このとき、MNCCのスタッフの方や沖縄グループとも合流し、会話を楽しんだ。生徒たちはアメリカに来てから、人見知りをしなくなったように思う。自分から話しかけることでよりよいコミュニケーションが生まれることを学んだのかもしれない。そして、搭乗の4時間前となりチェックイン開始。ここではイヴォンとシェリルが生徒たちのそばに立ち、どんどん誘導してくれた。「背負っているリュックも預けるのか?」などの空港スタッフからの質問に戸惑う生徒たちをサポートしてくれて本当に助かった。2人のおかげで非常にスムーズに手続きを終えることができた。その後、アメリカでの最後の集合写真を撮り、セキュリティーゲートへと向かった。セキュリティーゲートの手前で、ついにイヴォンたちとお別れだ。TCのイヴォンとシェリルへの感謝と愛情が溢れ出し、再び涙する生徒たち。TCの2人も涙を流して、私たちとの別れを惜しんでくれた。本当に愛情いっぱいの素敵なTCだった。ここで生まれた『縁』を大切にして、生徒たちがさらに成長したとき、再び彼女たちの元を訪れてくれるような繋がりを持ってくれると嬉しい。涙を流しながら、何度もイヴォンたちの方を振り返って手を振りながら、生徒たちはセキュリティーゲートを通っていった。セキュリティーゲートは日本出国よりも厳しく、手荷物はもちろん上着も靴もチェックされる。こちらも問題なくスムーズに通ることができた。最初にゲートを出た生徒に他の生徒たちの管理をお願いしていたが、これもバッチリ。とてもしっかりしていて、引率者としては心強いかぎりだ。人数確認を済ませると、最後にゲートの隙間から見えるイヴォンたちに手を振り、お別れをした。
さて、セキュリティーゲートを抜けると、11時過ぎにも関わらずコーヒーショップは営業していた。24時間営業なのだろうか。飛行機の搭乗まで、まだだいぶ時間があるので今のうちに生徒たちに感想文を書くように指示を出した。本当は飛行機の中でもいいのだが、飛行機が揺れたり夜中眠ったりすることが予想されることに加え、感動の気持ちが大きい今の方が書きやすく、何より私もチェックや回収がしやすいので、この場で書かせることにした。「早く終わったら、少し買い物してもいいよ。」と伝えると、そそくさとテーブル席を見つけ、感想文を書き始めた。早い生徒は15分ほどで終わり、友達の提出を待って周辺の散策に行った。しかし、ギフトショップはすべて11時で閉まっていたようだ。残念。全員の感想文提出が終わり、トイレ休憩や歯磨きを済ませ、1時になった頃合いで搭乗口のあるSゲートへと歩き出した。案内に従ってエスカレーターを降りていくと、Sゲートに向かうモノレールを発見。先頭車両に乗り込み、なかなかのスピードで進んだモノレールはあっという間にSゲートがある建物に到着。長いエスカレーターを上がり、搭乗口前で待つことに。予定どおり、搭乗開始は1時30分。生徒たちは慣れた様子でパスポートと搭乗券をスタッフの方々に見せて飛行機に乗り込んだ。ここから台湾に向け、12時間に及ぶフライトだ。ただし、今は夜中の2時過ぎ。1日の疲れを癒すために多くの生徒たちがまずは眠りについた。
12時間のフライトを終え、飛行機は無事、台北にある台湾桃園国際空港に到着した。私たちが日本からシアトルに向かうときに立ち寄った空港だ。機内では二度の機内食がサービスされたが、寝ていて食べられなかった生徒が多かったようだ。私も1回目の機内食を食べることはなく、明け方の朝食のみいただいた。乗り継ぎのときに話をすると、生徒たちはそれぞれ映画を1、2本観たり、ずっと眠ったり、ゲームのチャンネルでゲームを楽しんだようだ。飛行機を降りると、そのまま乗り継ぎをした。台湾での手荷物検査もとてもスムーズに進み、私が最後に検査場を出たときにはグループのリーダーが先頭に並んで皆をまとめてくれていた。本当にありがたい。皆そろったところで、福岡行きの飛行機の搭乗ゲートまで移動。シアトル行きのときとは違い、待ち時間は2時間弱。集合場所を確認して、少し自由時間とした。正直なところ、お腹もすいていなければ特に買うものもないだろうが、国際線を利用すること自体そうそうないだろうから探検するのもいいだろう。しっかりと記憶に留めてほしい。もちろん、搭乗口のそばで仮眠や水分をとる生徒の姿もあった。移動はもうしばらく続く。頑張ってもらいたいものだ。
台北から福岡への搭乗も時間どおりの7時40分。直前になって「肩掛けカバンがない!」と騒ぐ生徒がいて慌てる場面もあったが(結局、友達が持っていてくれていたらしい)、全員無事に搭乗。およそ2時間のフライトで福岡国際空港へと向かった。機内食はチキンと白飯で日本人好みの味付け。楽しみにしていた生徒にとっては、満足いく内容だったことだろう。機内で再び映画やドラマ、ゲームなどを楽しみ、あっという間に福岡に到着。外国での入国審査や出国手続きを済ませた生徒たちにとって、日本語での入国手続きは余裕だったに違いない。ただ税関の職員にお礼を言うときに“Thank you!”と挨拶する生徒たちが続出。ちゃんと英語が染みついている。しばらくは、生徒のご家族や友達の前でこうした反応が見られるかもしれない。出口では、MNCCのスタッフの方とバスの運転手の方が出迎えてくれた。見渡すところ日本語と日本人だらけ。そして外に出ると、肌にまとわりつく熱気。「日本に帰って来たんだなぁ。」とつくづく感じた。「昼食はどうする?」とのスタッフの方の問いかけがなされたが、「まず帰りたいんだろうなぁ。」と思い、トイレ休憩以外は止まらずに鹿児島へ直行してもらうよう私から返事した。運転手の方のお話では、「鹿児島空港には3時には着きますよ。」とのこと。皆で過ごす最後の時間。「疲れているだろうし寝るのかな?」と思いきや、まあ、よく語りよく笑う。元気だ。でも、それだけ仲を深めた証拠でもある。うるさいが、ここは我慢しよう。私は私で、MNCCのスタッフの方との会話を楽しんだ。
バスは3時過ぎに鹿児島空港に到着した。すでに多くの生徒の保護者が来られていた。「あー、さすが親子!似てる!」「お母さん、美人!」など、実はバスの中では保護者の話題で大騒ぎになっていた(笑)。バスを降り、解散式。全員の前で少し話をさせてもらったが、9月2日に報告会があり再会の機会もあるため、私自身は寂しいというよりもプログラムの全てを終えて清々しい気持ちのほうが強く、「ホームステイプログラムで得た経験をこれからの生活に活かしてほしい。」「関わってくれた全ての人々に感謝の気持ちを持ってほしい。」などの言葉を笑顔で伝えることができた。夕方4時には全ての生徒たちが保護者と共に帰っていった。これで私の引率者としての務めは終わりだ。明日から学校がある生徒もいるとのこと。今夜はゆっくり休んで、疲れがとれたらご家族や友達に土産話をたくさん聞かせてあげてほしい。もちろん、到着の報告をホストファミリーにするのもお忘れなく。22名の生徒諸君、24日間本当にお疲れ様でした!
ポートオーチャードでのホームステイプログラム最終日を迎えた。今朝も澄み渡った青空を眺めながら、穏やかな少し冷たさすら感じる風を浴びながら、「次の朝を迎えるときはもうアメリカにはいないのか。」と考えていた。そう思うと、とても寂しい気持ちもあるが、ここアメリカでの最終日を笑顔で終えたいと心から思う。
さて、今日の活動は『TCのシェリルの家でのバーベキューパーティー』だ。生徒たちにとっては最後の思い出作りであり、ご褒美とも言える活動。とはいえ、パーティーはもちろんアメリカ式。アメリカの文化を体感するには欠かせないものであろう。誰と何を語るのか、何をして過ごすのか、受動的でなく能動的な関わりを築く時間にしてもらいたい。
いつもは9時までにスタディセンターに集合する生徒たちだが、今日のパーティーは10時からということで、いつもより長くステイ先でゆっくり過ごしてからの集合となった。私がシェリルの家に到着したのは10時になる15分ほど前。すでに数人の生徒たちが来て、お手伝いをしたりテレビを見たりしていた。私は早速ガイドブックを回収して日記のチェック。そうこうしているうちに、どんどん生徒たちやそのホストファミリーたちが到着。シェリルの家は入り口で靴を脱ぐスタイルなので、玄関は皆の靴で溢れかえってしまった。誰のものか分からなくなるため、最終的には靴を履いたまま入っていいという話になった。10時を過ぎても生徒たちが全員そろっていなかったので、もうしばらくまったりと過ごした。その後、全員がそろったところで庭に出てゲームをした。膨らませた風船を紐で足にくくりつけ、自分の風船が割られないように気をつけながら他の人たちの風船を割るというゲームだ。広い庭と、騒音を気にしなくていい立地だからこそできる遊びだ。生徒たちもアメリカの子どもたちも一緒になって風船割りを楽しんでいた。こういうゲームをすると、それぞれの性格がよく見えてくる。攻めの姿勢を崩さない者、風船を小さく膨らませて割られないようにする者、とにかく逃げ回る者、戦い方はそれぞれだが楽しそうに活動していて良かった。しかし、活動中に足を痛めた生徒がいて、アイシングをする場面もあった。熱中するのはいいが、もう少し加減してほしいものだ。ゲームを楽しむと、水分補給をして、今しばらく自由時間。バスケットボールをしたり、トランポリンをしたり。シェリルや大人のホストファミリーたちは昼食のバーベキューの準備に取り掛かり始めた。イヴォンから「TCのTシャツに名前を書いてね。」と言われ、名前を書く生徒たちもいた。11時半を回ったあたりから、生徒たちをリビングの広いスペースに集めたイヴォンはチケットの表彰を行なった。最も多くのチケットを集めた生徒のチケット数は95枚。授業での発表や活動、TCのお手伝い、日本語を使わないことなどにせっせと取り組み、3週間ほどで積み上げた成果である。2位は90枚。2人にはTCから可愛らしいバッグや財布などが贈られていた。また、TCは全員に小さなギフトを準備してくれていた。柔らかい小さめのラグビーボールやサッカーボール、カラフルなボトルに入ったシャボン玉、おもちゃなどを皆2つずつ選び、持ち帰った。このとき私もTCから、シアトルのタンブラーやアメリカのノート、カレンダーなど、たくさんのギフトをいただいた。MNCCのスタッフの方も話されていたが、アメリカの人たちは本当にサプライズが好きだと思う。人を喜ばせることに幸せを見い出せる国民性はとても素敵だ。
さて、表彰が終わると昼食の時間。ホストファミリーが焼いてくれたビーフパティやソーセージをもらい、パンにはさみ、それぞれにハンバーガーやホットドッグを作った。また、お皿にポテトサラダやマカロニサラダ、様々な種類のポテトチップスを盛り、床の上に友達と輪になったり、外で心地よい風に吹かれたりしながら食事を楽しんだ。日本の生徒たち、アメリカの子どもたち、そして私たち大人も含めるとかなりの人数だったため、ビーフパティを焼くのにだいぶ時間がかかった。1人黙々と焼き続けてくれたホストファーザーには頭が下がる思いだ。食事が終わると再び遊びの時間。バスケットボールをしたり、トランポリンをしたり、おしゃべりをしたり、トランプをしたりと、思い思いに過ごしていた。その後、スタディセンターでのイヴォンチームとシェリルチームに分かれ、お互いに水風船をパスし合うゲームを行なった。投げ方、捕り方を間違えると水を思いっきり被ってしまう。水風船で遊ぶのも生徒たちにとっては久しぶりだろう。思いっきり濡れてしまった生徒もいたが、アメリカの子どもたちとも遊び、良い思い出になったことだろう。また、手を使わないスイカの早食い競争も行い、夏らしい遊びを満喫した生徒たち。2時半くらいには、TCが準備してくれた“I miss you so much.”のメッセージが書かれたケーキに、手作りのブラウニーやケーキをいただいた。至れり尽くせりのもてなしに、感謝でいっぱいだ。
刻一刻と、ポートオーチャードでの時間が過ぎ去っていく。人が集まると、笑ったり怒ったり悲しんだり喜んだりと、本当にいろいろな表情が見えてくる。このバーベキューの時間の中でも、人間関係で悩む生徒、冗談が行き過ぎて相手を怒らせる生徒、気を遣ってばかりいる生徒など、様々な生徒の様子が見えた。こうした時間を経て、人との付き合い方を皆学んでいくのだろう。今日がホームステイ最終日。泣いても笑っても最後の1日。自分の感情も大事にしてほしいが、自分に関わってくれた人たちに何を返せるか、自分はどれだけ自立した人間に近づくことができたのか、そうした思いを持って今日の日を終えてもらいたいものだ。ときには、きつい思いをした生徒もいたことだろうが、「ホームステイプログラムに参加して良かった。」という気持ちを、全員が持ってくれていたら嬉しい。
3時近くにホストファミリーの都合で少し早めにシェリルの家を発った生徒に加え、4時には全ての活動が終わり、自分のステイ先に帰る時間となった。シェリルの娘のAlly(アリー)が寂しさのあまり泣き出したことで、女子生徒たちも泣き出す自体に。アリーはスタディセンターにもいつも来てくれる、生徒たちのアイドルであり天使だった。彼女は今夜のスタディセンターへの見送りに来られないため、ここでのお別れとなる。涙ながらにハグをし、皆、ステイ先へと戻っていった。私も4時にはホストファーザーが迎えに来てくれ、シェリルの家を後にした。
そして、夜7時半、生徒たち22名がスタディセンターに集まった。いよいよ旅立ちの時を迎える。
週末にわずかだが雨が降ったワシントン州。そのおかげか、涼しい日々が続いている。昨晩はここシアトルのアメリカンフットボールのチームであるSEAHAWKS(シーホークス)の試合(プレオープン戦)が行われ、シアトルの多くの人々がその試合を見たことだろう。私はホストファーザーからシーホークスのユニフォームを着せられ、サングリアを飲みながら楽しく観戦させてもらった。生徒たちはどのような週末を過ごしたのだろう。日記を読むのが楽しみだ。
さて、アメリカでの最後の週末を各ホストファミリーと過ごし、新しい1週間を迎えた。全員がそろったところで健康観察をし、さよならパーティー後にスタディセンターに生徒たちが忘れていたポスターや習字道具、Tシャツ、サッカーボール(?!)等を配り、「忘れ物をしないように!」とチクリと一言。私たちはバスに乗り、一路Olympia(オリンピア)へと向かった。
1時間ほどでバスはオリンピアに到着。バスを降りると、そこには古代ローマの建造物を思わせる厳かな建物があった。Capitol(キャピトル)と呼ばれるワシントン州議事堂だ。同日程で、MNCCの沖縄からのグループも訪れていた。MNCCのスタッフの方もおり、集合写真を撮っていただいた。入り口で沖縄グループとは分かれて、キャピトルの職員の方に中を案内していただいた。最初に通されたのはホール。天井から3000ポンドのおしゃれなシャンデリアが下がり、音がよく響く。建物全体が大理石でできていて、ここではオーケストラの演奏も披露されるらしい。他にも、Reception Room(レセプションルーム:来賓室)やGovernor Office(ガバナーオフィス:州知事室)、House(ハウス:議会室)などを見させてもらった。通訳を頼まれた私だが、もともと政治などの知識に疎いので難儀をする場面もあり説明をしない箇所も出てしまった。というものの、ガイドの方がゆっくりと話してくださったので、私より公民が得意な生徒はけっこう理解できたのではないだろうか。ガイドの方にギフトショップまで案内していただき、ここでガイドの方とはお別れ。“Thank you.”とお礼を言って、今度は買い物の時間。キャピトルのギフトショップはポストカード、シャツ、ぬいぐるみ、グラス、キャンドルなど様々な品物が売られていた。生徒たちも予想以上の品揃えの多さに、財布の紐を緩めて買い物を楽しんでいた。数人がぬいぐるみを購入していたが、持ち帰りのカバンの中にちゃんと収まるのだろうか。「大丈夫です。」とは言っていたが…。本能的に癒しを求めているのかもしれない。
キャピトルを出て、次はTacoma Mall(タコマモール)へ向かった。フリーウェイを走って30分強。大きなショッピングモールだ。日本にあるイオンをイメージすると分かりやすいのではないだろうか。1階のみの建物だが、さすがアメリカというだけあって、広い。ショップも十分なスペースが確保されており、店舗数もかなりある。日本や九州に上陸していないアメリカの人気ショップもあるということで、特に女子生徒たちは大興奮だった。有名かつ人気のショッピングエリアということで、生徒たちの中には、週末を利用してホストファミリーと買い物に来たことがあるという者もいた。駐車場からモールに入ったところで、生徒たちに連絡。「午後3時半にここ(入り口)に集合。」と伝え、ひとまず昼食をとるためにフードコートへ移動した。ここのフードコートは、ハンバーガーやピザといった定番のアメリカンフードに加え、和食、タイ料理、中華料理など種類が豊富だった。そして、店の前では試食もさせてもらったが、どれも美味しい。日本人好みのテイストだ。生徒たちは7ドルほどでプレートいっぱいの料理を購入していた。私を含め、数人はステイ先から昼食を持って来ていたが、食事をとるにはちょうどいいスペースだったので、皆ここで食事を済ませた。
そこからは、お楽しみのショッピングの時間。食事後に2時間以上もあれば、さすがに十分であろう。生徒たちはほとんど皆、家族や友達へのプレゼントを買い終わっていたようで、お小遣いを自分のために使えると大はしゃぎ。「単独行動はしない。」という恒例の約束事を守りつつ、ショッピングを楽しんでいた。私も、アメリカで増えた荷物を持ち帰るため、もともと予定していたシアトル・マリナーズのリュックを購入することができた。ショッピングモールを歩き疲れた私は、3時には集合場所近くの椅子に座って、生徒たちの到着を待つことにした。すると、次第に買い物バッグをぶら下げた生徒たちが笑顔で戻って来た。生徒たちも自分の満足のいく買い物ができたようで、それぞれが購入した品物を見せ合っていた。「日本で買うよりも安かった!」と喜ぶ姿を見てこちらも嬉しい気持ちになったが、あとはしっかり荷造りをして忘れずに日本に持って帰ることを願うばかりだ。重量オーバーも懸念材料の1つである。3時半になり、人数確認をしたところ、男子生徒が2人いなかった。他の生徒に聞くと、どうやらスターバックスでコーヒーを買うために列に並んでいるという。TCの先生は「一応バスが出発する30分前に集合させているから大丈夫。」と言ってくれたが、十分な買い物時間があったにも関わらず、コーヒーのために全員が待つのはおかしい。明日は空港で出国手続きがある。時間を守れないようでは困るので、2人の生徒には私のほうで指導を行なった。すべての集合が完了したのは予定の10分後、3時40分。皆バスに乗って、住み慣れたポートオーチャードへと戻ることとなった。
バスの中でも、生徒たちはおしゃべりを楽しんでいた。わざと日本語風の発音で英語を言って、アメリカの子どもたちやTCを笑わせている姿が面白かった。明日がホームステイ最終日とはとても想像がつかない。もう日本に帰るのだが、どうも実感がわかない。生徒たちはどうなのだろうか。行きのバスの中で、生徒の1人から「ホストファミリーへの手紙を添削してほしい。」との申し出があり、紙に書かれたその文を読んだ。昨夜、12時近くまでかかって、辞書を頼りに書き上げたとのこと。「アメリカでの生活はイメージと違っていた。」「ホストファミリーに恵まれ、楽しい思い出がたくさんできた。」「この経験を今後に必ず活かすつもりだ。」などの言葉に、彼女の強い感謝の気持ちが伝わってきた。「ぜひ、直接読んでから渡してあげたほうがいい!」と伝え、下書きの紙を渡した。きっと今夜メッセージカードに清書するのだろう。素敵な関係が築けて本当に良かったと思う。
バスの中で、TCと私から連絡を行なった。明日のことについてだ。ホームステイ最終日となる明日、ポートオーチャードグループはすでにさよならパーティーも終えているので、TCのシェリルの家で1日バーベキューを楽しむことになっている。水風船を投げ合ったりもするとかしないとか。「濡れるかもしれないよ。」とのイヴォンの言葉を受けて、生徒たちはタオルや替えのTシャツを準備することだろう。また、明日はこれまでに集めたチケットの表彰式がある。誰が最も多くのチケットを集めたのか結果と賞品が楽しみだ。また、私の方からは、明日の空いている時間で日記をチェックするので必ず全員書いて持ってくるように連絡した。今日見ることができなかった金曜日の分から今日月曜日の分までを最後にチェックさせてもらう。書いていなかったら、バーベキューの横で書いてもらうつもりだ。全員がしっかりと書き上げて持ってくることを願う。なぜなら、これまで全員の日記がそろったのが1日しかないからだ。やるべきことはしっかりと終えてもらい、気持ちよく帰国したいところ。生徒たちの最後の頑張りに期待したい。
これまでに色々なことがあったが、全員無事に元気に出国できるよう最後までしっかりエスコートしていきたい。 
夜の風が、これまでシアトル付近に漂っていたスモークを押し流してくれたようで、今朝の空はいつも以上に青く澄み切っている。私たちがアメリカで迎えた最初の朝のような清々しさだ。今日はついにさよならパーティー。あっという間にこの日を迎えた。
今日は、生徒たちがスタディセンターに到着した瞬間から大忙しだった。やってきた人から、ガイドブックとTCの先生へのプレゼントを私に提出し、イヴォンからTシャツを受け取る。「何に使うTシャツだろう?」という疑問を持ちながら、生徒たちはあちこちに動き回る。9時になり健康観察や連絡の時間。今日は、昨日体調を崩した生徒が回復せずに初めて欠席という形になってしまった。さよならパーティーまでの回復を願い、他の生徒たちの様子を確認。皆、疲れはあるものの、不調を訴えることはなかった。さて、今日の日程を確認すると同時に、先ほど配ったTシャツについての説明を行なった。このTシャツはホームステイの思い出ということで、ポートオーチャードグループのメンバーの名前をそれぞれ書いてもらう記念Tシャツだった。TCが準備してくれたペンで、メンバーたちのTシャツにそれぞれ名前を書いていく。英語、日本語、サインなど思い思いの書き方で名前を書き、ときにはイラストも加えていた。一人一人が全員のTシャツに名前を書いていくわけなので、時間がかかる。そして、誰がどれに書いたのかだんだん分からなくなっていく。収拾がつかなくなってきたので、少しだけ書かせたあとは「続きは休み時間や昼食時間に。」ということにし、次の活動へ。
まずは、ホストファミリーへのプレゼントであるタイルのラッピング。白色の薄いラッピングペーパーで自分たちが作ったタイルを包み、リボンで留める。リボンの端はハサミを使って器用にカール付け。それに、ホストファミリーへのメッセージカードを添えて台に並べた。さよならパーティーの後半で渡すためだ。そのあとは、ボディトレーシングが終わっていない人はその作業をしたり、スタディセンターの椅子やテーブルを動かして会場のセッティングをしたりした。たくさんのホストファミリーが来られるので、座席にネームプレートも飾り付けた。それが終わると、Tシャツの名前書きの続き。自分のTシャツがどこにいったのか大騒ぎしている生徒もいたが、とても楽しそうだ。でも、こうやって皆で過ごす時間もだんだんと終わっていくのかと思うと、寂しい気持ちになる。生徒たちが名前を書いている間に私たちは彼らの日記を読んだが、「ホームステイが終わると思うと寂しい。」「帰国する前にもっとホストファミリーに恩返ししたい。」という言葉が多く書かれていた。この生徒たちはホストファミリーに本当に恵まれたようだ。良い思い出ができ、それに合わせて素敵な関係が築けているようだ。ホームシックはほとんどなく、その代わりにフードシックはあったようだが(笑)。
さて、11時過ぎになり、活動が落ち着いてきたところで一度生徒たちを全員集めた。さよならパーティーのスケジュールを全体で確認し、個人演目の順番決めを行うためだ。個人演目の時間が限られていることもあり、上限3人まではチームを組んでいいこととした。それでも9組ほどの発表となるので、程良いと言えるだろう。BGMの確認も済ませた後、数人の生徒を引き連れてシェリルの車で調理用の材料を買いに行った。肉、魚類は新鮮さを保つため、パーティー当日に買うと決めていた。とは言いながらも、今日になって「卵が欲しい。」「きゅうりが足りない。」など買い足しを申し出る生徒もいた。予想どおりだ。一緒に買えばいいだろう。スーパーマーケットで計算をしながら食材を調達したのだが、残念ながら予算を10ドルほどオーバーしてしまった。「なぜだろう?」と帰りの車の中でレシートを見ると、13ドルの牛肉を2回レジに通されてしまっていた。油断した…。完全に私の油断だった。今更お店に戻っても遅いので、これは私の手出しとしよう。確認できていれば、非常にうまく買い物ができたのに…。とにかく悔やまれる。私たちがスタディセンターに戻ったのは12時頃。すでに他の生徒たちは昼食をとったり、Tシャツの名前書きをしたりしていた。今日は本当に慌ただしい。私たちも遅ればせながら昼食をとることにした。
12時半になると、台所を貸してくれるホストファミリーが調理グループを迎えに来た。調理グループは4つのグループに分かれ、それぞれが各家庭の台所をお借りして、3時間ほどかけて調理を行い、スタディセンターに持ち寄るのだ。私は会場設営のほうに残るので、生徒たちの頑張りに期待するしかない。その間に、残った生徒たちで会場設営を行なった。活動の中で作ったフラッグやボディトレーシングを壁に貼り、折り紙ブースと習字ブースを設置。TCの子どもたちも手伝ってくれ、順調に作業は進んだ。そのあとは、司会の原稿づくりと折り紙づくり、習字書きに分かれ、活動した。3時には全員の作業も終わり、各自のパフォーマンスの練習をしたり、ゆっくりしたりして時間を過ごした。後半にはTCの先生2人からピザの差し入れもあり、皆美味しそうに食べていた。もちろん調理グループの生徒たちの分は残しておいた。
生徒たちは浴衣や甚平に着替え、ホストファミリーと食事をしたり、アメリカの子どもたちに習字を書いたり折り紙を折ってあげたりしていた。午前中、ステイ先でお休みしていた生徒もさよならパーティーには来れていて、笑顔を見せてくれた。今回、調理グループの生徒たちが作ったのは「肉じゃが」「卵焼き」「おにぎり」「ちらしずし」「てんぷら」「唐揚げ」「味噌汁」「コロッケ」「ポテトサラダ」。その隣には、日本のお菓子を並べたスナックコーナーも設けられていた。ホストファミリーたちはどれも美味しいと笑顔で食事を楽しんでいた。私も少し食べたが本当に美味しくできている。生徒たちは、よく頑張って作ってくれた。
それから、生徒たちによるパフォーマンスの時間。進行役の生徒の声かけで、生徒たちは前に集まり、全員での『かえるの歌』の輪唱からスタート。緊張しているのか、笑顔だがもう少し声量が欲しいところ。これからの巻き返しに期待だ。個人演目では、生徒個人の特技を生かしてピアノやリフティング、縄跳び、けん玉を披露したり、日本の若者たちの間で流行っている『恋ダンス』、子どもたちに人気の『ようかい体操第一』などのダンスに加え、『アルプス一万尺』『みかんの花』をホストシスターとしたり、アメリカの子どもたちを巻き込んで『おはら節』を踊ったりした。一番盛り上がったのは、男子生徒による『二人羽織』であろう。二人羽織でお化粧をしたり、食事をしたりする姿に大きな笑いが起こっていた。味噌汁を床にこぼしたときは後片付けに苦労したが、楽しんでもらえたようだ。個人演目が終わると、生徒たちは再び全員前に並び『翼をください』を合唱。練習時間がほとんどない状況でよく頑張ってくれた。人前に立って何かをやるということは、とても勇気がいる。それをしっかりとやり遂げた生徒たちの頑張りを大いに讃えたいと思う。
その後、TCのシェリルの進行で、各ホストファミリーへ生徒たちからタイルのプレゼントと、生徒たちへの参加証が送られた。各ファミリーが前に出るときには、泣き出す生徒が続出。会場の涙を誘った。ポートオーチャードのホストファミリーの皆さんは本当に温かく、生徒たちはたくさんの愛情をもらった。帰国までの数日、さらに深い関係を築いてほしいと思う。タイルを渡してからは、私のほうでお礼のスピーチとTCへのプレゼント紹介および贈呈をさせてもらった。TCの2人には、生徒全員からの寄せ書きとギフトの詰め合わせを贈った。喜んでくれて何よりだ。
こうして、2時間弱のさよならパーティーは幕を閉じた。明日からアメリカでの最後の週末となる。生徒全員がホストファミリーとの時間を大切に過ごしてほしい。
今朝のポートオーチャードも心地よい風が吹いている。青空にはすこし霞のような雲のようなものがかかっていて、“smoky”(スモーキー)な状態が続いている。思えば、こちらに来てから一度も雨を見ていない。日本に比べてだいぶ乾燥している証拠だ。山からの雪解け水のおかげで水不足になることはないが、乾燥には注意しなければ。今日は、 “Mt. Rainier”(レーニア山)への1日研修。大きなバスを借り、片道3時間かけて目的地へ向かう。日本にも自然は溢れているが、アメリカの大自然というものも体で感じることができる貴重な機会となるだろう。車酔いや怪我などに気をつけて自然を満喫する1日にしてもらいたい。
私がスタディセンターのあるタウンスクエアに到着したとき、まだバスも生徒たちも来ていなかった。さすがに集合時間の30分前は早すぎたか。陽を浴びながら少し待っていると、ほどなく生徒やTC、アメリカの子どもたちが集まってきた。今回も、生徒たちだけでなくホストファミリーが数人参加する。アメリカの子どもたちは朝からテンションが高いので、自然と私も生徒たちも笑顔になる。「この違いも文化の違いの1つかな?」と思いながら、毎日彼らの明るさに救われていることも実感した。9時になり生徒たちが揃ったところで、早速バスに乗車。健康観察では生徒たちの不調も見られなかった。移動時間があるので、「この時間にさよならパーティーの打ち合わせが必要なグループはしておくように。」と伝えた。2〜3人でダンスや歌を披露する生徒や、午後から調理をする生徒がいるのだが、スタディセンターでは昼食時間くらいしか打ち合わせや練習の時間が確保できていない。明日バタバタとしないように、しっかり確認しておいてもらいたい(と言っても、バタバタすることになりそうな気もするが…)。簡単な連絡と確認を済ませ、バスは一路レーニア山へと走り出した。
バスを走らせるとすぐ、空が曇って来た。そして、橋に差しかかる頃には霧が立ち込めた。いつもなら橋の下に広がる大きな川が見えるのだが、今日は霧で全く見えない。幻想的だが少し異様な感じがした。橋を越えると霧も晴れ、再び空に青色が戻って来た。やがてバスは街を抜け、自然に囲まれた道を走ることに。山道なのか曲がりくねった道が続く。2時間ほど走り、線路沿いのお店がいくつか立ち並ぶところでバスが渋滞につかまった。平日の昼間に何かと思ったら、Road Workつまり道路工事だった。あまり広い道ではないため、大きなトラック等が工事をすると交通が止まってしまうのだ。ここで20分ほどバスは止まることになった。途中、コーヒーなどを買いにバスを降りるホストマザーたちの姿があったが、生徒たちがバスを降りることはなかった。この移動中、眠っている生徒たちはごくわずかで、パーティーの打ち合わせを済ませた生徒たちはおしゃべりを楽しんでいた。私もアメリカの子どもたちとお菓子をシェアしたり、アメリカのことを教えてもらったりと、のんびりさせてもらった。
11時半くらいに、ついに国立公園の入り口に到着。イヴォンが入場料を支払い、バスは国立公園内を進んで行く。10mを超える木々に囲まれた山道を走っていると、木々の間から白い雪をかぶったレーニア山が姿を現した。距離が近くなり、その迫力がよりいっそう強く感じられた。レーニア山が見えるたびに生徒たちはカメラを手に取り、シャッターを押しては盛り上がった。途中、崖くずれの危険性があるところで片道通行となり、待ちぼうけを食らったりしながら、12時半過ぎにビジターセンターのあるスポットに到着した。ここは有名な観光地ということもあり、アメリカ国内のさまざまな州からやってきた車が数多く止まっていた。生徒たちは昼食、カメラ、財布を持ってバスを降りた。外は寒いどころか日差しが照りつけて暑いくらいであった。一応羽織るものを持ってきていた生徒たちだが、それを着る必要はなさそうだ。上着を手に持ったり、腰に巻いたりして移動することとなった。
バスを降りてビジターセンターのそばまで来たところで、MNCCの酒井さんと再び合流した。彼女の指示で、まずはレーニア山を背景にして集合写真をパチリ。晴れ渡った青い空がレーニア山の白を際立たせる素敵な写真が撮れていることだろう。集合写真の隊形のまま、酒井さんから帰国時の荷物の話をしてもらった。持って出ることができないもの、預ける荷物の上限などを話したところ、しっかりと重量制限の数字まで覚えている生徒もいて感心だった。集合写真の並びの早さも酒井さんから褒めていただき、ちょっと自慢げな生徒たち。優秀な生徒たちが集まっているとつくづく思う。
連絡も終わり、やっと昼食。12時半過ぎから14時半までを自由時間とした。しっかりと食事をとることや単独行動禁止を確認したら、皆、思い思いに空いているベンチや日陰に座って昼食をとった。ビジターセンター内にはギフトショップもあるということで、生徒たちは再び買い物に興じた。観光地というだけに、ポストカードやTシャツをはじめ、さまざまなお土産が売っていた。“Mt. Rainier”のロゴが入っている商品はお土産にもぴったりだ。ここでも生徒たちは家族に、友達に、とお土産を買った。私もこの機会に、クラスの生徒たちにポストカードを40枚購入。良いものが見つかって一安心。買い物が終わると、ハイキングコースに足を踏み入れてみた。なだらかなコースと急な坂道のコースに分かれていた。私は15分ほどハイキングコースを歩き、その風景を楽しんだ。数人の生徒たちも限られた時間ではあったが、写真を撮ったり自然に触れたりしていた。時間に余裕があれば、もっと上まで登れただろうが致し方ない。
2時間ほどの自由時間はあっという間に終わり、集合時間となった。グループのリーダーを先頭に集合と点呼を行ない、私たちは再びバスをに乗り、帰路に着いた。自由時間のときに体調が良くないと申し出た女子生徒が見られ、彼女は帰りのバスの中でも休んでいた。バスの冷房と外の強い日差しとのギャップにやられたのかもしれない。深刻な様子ではないが、きっと疲れも影響していると思われる。明日のさよならパーティーまでには回復していることを願う。帰りのバスは、行きと比べて眠っている生徒たちが多かった。短い時間ながらレーニア山で歩き回ったりして疲れたのだろう。私はTCの8才の息子がやっていたスマホのゲームを一緒にやっていたのだが、ふとバス内を見渡すと生徒たちは眠り、アメリカの子どもたちはおしゃべりを楽しんでいた。朝もだったが、アメリカの子どもたちは本当に元気だ。この違いは一体何なのだろうか?バスがポートオーチャードに着いたのは、夕方6時前。帰りもなかなかの移動時間だった。バスを降りる前に、TCと私から連絡をいくつか行なった。ついに明日はさよならパーティーだ。英語の授業も明日まで。スタディセンターでの活動自体も終わる。それに伴い、持ってくるものの確認を行なった。まずは授業に関するもの。大きなテキストは使わないが、宿題の単語用のメモ帳やフォニックス(音声学)のノートが必要であること。これまで発表やボランティアで集めたチケット、さよならパーティーで着る浴衣や甚平、出し物のための小道具、TCへのプレゼント、昨日持ち帰ったフラッグやメッセージカードなどなど、とにかく明日は持って来なければならないものが多い。明日1日の動きをイメージしながら、寝る前に準備するよう伝えた。素敵なさよならパーティーになるよう、私も全力でサポートしなければ!楽しみながらも、思い出に残るパーティーにしたい。
連日の屋外活動(カーウォッシュやスポーツデイ)のせいか、それともアメリカでの生活に慣れてきたおかげか、理由ははっきりしないが最近よく眠れる。昨夜も11時半に寝て、朝7時まで全く目が醒めることなく朝を迎えた。大人の私ですらこの状態なのだから、生徒たちもきっと今週はぐっすり眠れていることだろう。ただ、相当疲れているに違いない。不安や緊張で眠れないよりは断然良いが、疲れがたまっていないことを願う。さて、今日も生徒たちは9時までに全員がしっかり登校。健康観察でも体調不良を訴える者はいなかった。しかし、予想どおりちょっと疲れ気味だ。健康観察ついでに、生徒たちに私から少し連絡をした。さよならパーティーのことだ。気づけば、パーティーは明後日に迫っている。1つ目の連絡は、「さよならパーティーの個人パフォーマンスで、もしBGMを使用したい者がいたら申し出るように。」ということ。ここスタディセンターにネット環境があれば、私のiPodでYouTube等に接続しその場ですぐ活用できるのだが、 もしネット環境がなければ事前に私のステイ先で音源をデータとして準備しておかなければならない。ネット環境の確認と調整がTCの返答待ちの状態なので、もしもの事態に備えておきたい。生徒たちの中では、すでに何をするかの話題も出ているようなので、PAとしては準備のサポートに専念し、生徒たちの力ですてきなパーティーを作り上げてほしいと願う。もう1つの連絡は、TCの先生たちへの色紙書きについて。私が日本で事前に買ってきた色紙に寄せ書きをして2人にプレゼントしたい旨を話した。このステイ期間、TCのイヴォンとシェリルは授業をしてくれたり、ゲームを企画してくれたり、屋外研修の移動手段の手配や連絡をしてくれた。ホストファミリーとして、生徒たちを受け入れてもくれている。ささやかではあるが、恩返しになればと思う。喜んでもらうためにも、コソコソと内緒で準備を進めている。少し難しい日本語と早口で説明したので、きっとバレてはいないだろう(笑)。
ホームルームを終え、英語の授業がスタートした。イヴォンのクラスもシェリルのクラスも、2つの母音が入る単語を皆で出し合う学習を行なっていた。“_a_e”や“_oo_”、“_oa_”の下線部に入る単語を全員で協力して12個ずつ書き出すという。綴りと意味と発音をすべて同時に身につけられる、語彙力アップの学習だ。難しいときにはTCの先生たちからヒントをもらいながら、熱心に学習に励んでいた。間違いを恐れず、ときに間違いながらも意見を言える生徒がイヴォンのクラスの方に多いので、同じ学習をしていてもイヴォンクラスはけっこう盛り上がる。一方、シェリルクラスは黙々と作業する生徒たちが多いので、難問でない限りはスムーズに進んでいく。私も、日本での授業を思い出しながら、少しサポートしつつ、授業の写真を撮った。この英語の授業も金曜日で終わりとなる。そう思うと、何だか少し寂しい。
15分間の休憩を挟み、今度はPicture Describing(ピクチャーディスクライビング)の活動を行なった。TCが用意したイラストについて、1人の生徒が説明をし、その説明を聞きながら他の生徒たちがイラストを描き、最終的に元となるイラストに一番近いイラストを描き上げた生徒が勝ちというものだ。風景画なので“Yellow Sun in the sky”(空に黄色い太陽)や“Two ships in the sea”(海にうかぶ2つの船)など英語で説明する。説明する生徒も大変だ。慣れてくると、イラストを描いている生徒たちから“Right side? Left side?”、“What color?”などの質問も出てくるようになった。リスニング、スピーキングの力が身につく良い活動だと思う。私も日本で実践してみることにしよう。
それぞれのクラスで学習した後は、フラッグづくりとボディトレーシングの作成の時間。今日の時間ですべて完成させることを目標に活動に取り組んだ。すでに終わっていた生徒たちは、TCから白紙と封筒をもらいメッセージカードを書くように指示が出た。これまでの活動で作ったものに添えてカードも送るという。「すでにお店でメッセージカードを買って家に準備してある。」という感心な生徒もいたが、時間があったので『飛び出すカード』を器用に作っていた。ほとんどの生徒が完成させることができたが、数人は終わらなかったので金曜日までの宿題となった。金曜日の午前中にすべてをまとめてパッキングするということで、忘れずに持ってくるようにとのことだった。私もTCへの色紙と贈り物、ホストファミリーへのカード、さよならパーティーで使う音源など、忘れないようにしなければ。
連絡も終わり、昼食の時間。サンドイッチ、ヌードル、サラダ、フルーツなど、それぞれに持ち寄って食べるこの光景もだいぶ見慣れてきた。教室奥のキッチンにある電子レンジ前に生徒が集まるのも定番だ。ここまで来ると、食事にもだいぶ寛容になってきたようで、味の評価をしながらもしっかりと食べきっていた。味の一つ一つに大騒ぎしていた頃が懐かしい。昼食の頃合いに、MNCCのスタッフである酒井さんもスタディセンターに来てくれた。久しぶりにその姿を見た子どもたちは明るい声で挨拶をしたり、ハイタッチをしたりしていた。明日のMt. Rainier(レーニア山)への1日研修にも同行されるそうだ。この機会に、私も帰りの飛行機のことや、帰国後の報告会のことなどをいろいろ確認することができてよかった。さて、今日の昼食は30分で切り上げ、Poalsbo(ポールスボー)のCentral Market(セントラルマーケット)に向かう時間となった。そのことを出発のときになって聞いた生徒たちは、あたふたと食事や歯磨きを済ませ、ホストファミリーたちの車に乗り込んだ。買い物ができることを知った生徒たちは、「今日ほとんど持って来てない!」などと残念そうだった。手元にあるお金でうまくやりくりしてもらうしかあるまい。
セントラルマーケットまでは車でおよそ45分ほど。フリーウェイを降りるとすぐに大きなお店が見えてきた。私はTCのイヴォンの車で一緒に移動したが、私たちが到着したときにはすでにほとんどの生徒たちが入り口で待っていた。「3時に再び入り口に集合する。」という連絡を受けた生徒たちはお土産などを買うために解散。1時間半の買い物時間があれば十分だろう。私はこの間に、明後日のさよならパーティーで必要な材料の買い出しをすることに。けっこうな食材の量があったので、「買い物の予定があまりない人は手伝って!」と声かけをしたが、協力してくれたのはただ一人だけ。皆、自分の買い物に夢中だった。さて、セントラルマーケットには本当にたくさんの食品があり、日本の醤油、味噌、みりん、料理酒なども揃っていた。私はリストにあった材料を大きなカートにせっせと入れていった。醤油が750mlくらいで900円くらいするので、やはり日本のものは高い。これに加え、大量の野菜を買っていく。野菜のほうも少し高い気がするが、その分サイズも大きいのであまり差は感じない。このお店には日本の大根もちゃんと置いてあった。リストを事前に作っていたおかげで買い物自体はスムーズに進んだが、とにかく数が多いので時間がかかってしまった。私自身の買い物をする時間は10分もなかった。「強制的にでも生徒たちに手伝わせればよかったかな。」と、少しだけ後悔した。ともあれ、生徒たちはお土産用にシアトルチョコレートやコーヒーなど、納得のいくお土産が見つかったようで満足した様子だった。さよならパーティーのための材料はおよそ120ドルほどだった。あとはこれに、当日買う牛肉や鶏肉、鮭、エビを加えたら準備は完璧。料理は生徒たちに頑張ってもらうことにしよう。
買った材料を運ぶ仕事はさすがに生徒たちに手伝ってもらい、スタディセンターでグループごとに仕分け作業をした。このとき、予想以上にじゃがいもが必要なことに気づいた。金曜日に買い足さねばならない。事前に気づくことができて良かった。材料は、さよならパーティー当日に台所を貸してもらう家庭にそれぞれ持っていって保管することとなったので、その家庭にステイしている生徒たちに持って帰ってもらうことにして、今日の活動は終了。明日は、レーニア山での1日研修。大自然にふれる1日だ。今夜もぐっすり眠って明日に備えてもらいたい。
今朝も青空が広がる良い天気だ。夏真っ盛りであるものの朝は少し肌寒く薄めの上着を一枚羽織るくらいがぴったりのポートオーチャードだが、これからだんだん気温が上がり、昼にはTシャツで過ごせるくらいに暑くなることだろう。今日は午後から “Sports Day”となっているため、いつもどおりの過ごしやすい天気であることを期待しながら家を出た。今日も8時50分くらいから続々と生徒たちが集まり、9時にはホームルームを開始できた。健康観察で自分の健康状態を訴えない彼らだが、ここ数日のうちに「実は朝から体調が悪くて…。」と午後になってから申し出る者も数名いたので気をつけて見ておきたい。そういう気の遣い方ではなく、すぐに静かにするとか昼食後にテーブルの上を片付けるとか、もっと他のところで気を遣ってほしいものだ。ともあれ、昨日のカーウォッシュでの疲れが残っている生徒はいるものの、健康には問題なさそうだ。
今日も、2つに分かれての英語の授業から。よくよく考えてみると、英語の授業を受けるのも残り数回となってきた。授業自体は簡単ではないが、じっくり考えたり、大声で笑ったり、意見を発表したりする、退屈しない時間。1時間1時間を大切に取り組んでもらいたい。イヴォンのクラスは、2つの母音が同じパターンで使われている単語をたくさん見つけ出してノートに書いていく学習。綴りと発音のつながりを学ぶことができるので、英語学習に非常に役に立つ。また、シェリルのクラスは、アメリカで知った10単語を使って短いストーリーを作るという学習。シアトルで迷子になったことをうまく表現している生徒もいて、シェリルも「見て見て!」と私に見せてくれた。学んだ単語を使いこなすには、間違いを恐れずに使うのが一番。どの生徒も、各教室での学習を頑張っていた。
1時間の授業のあとは15分間の休憩。おしゃべりをしたり、カバンに何かの液体(ジュース?制汗剤?)が溢れてあたふたしたり、ふざけ合ったり。生徒たちもだいぶ仲を深めている。中には、相性が悪い生徒もいることだろうが、それはどの社会においてもありうること。そうした環境の中で上手く渡って行かねばならない。この生徒たちの中には、そうした配慮をできる者が多いのでまとめる側としては非常に助かる。もちろん、まだまだ幼く自分中心の生徒もいるが…。これからの成長に期待したいところだ。
休憩後は皆で2回目となるイラストゲーム。イヴォンから出された英単語をイラストで表現する。2チームに分かれて、どちらが早く答えられるかの競争だ。今回は、全員がホワイトボードの前に立ってイラストを描くことができた。前回よりも明らかに難しくなっている題に戸惑いながらも、勝利を目指して答えを言い合っていた。結果、僅差ではあるがイヴォンチームの勝利。イヴォンチームはチケットも貰って嬉しそう。負けたシェリルチームも最初は悔しそうだったが、楽しめたので大丈夫だろう。気分転換のゲームを楽しんだら、昼食までの1時間でフラッグづくり(ホストファミリーの出身国の国旗を作り、下には思い出をイラストで表現するポスターづくり)とボディトレーシング(広幅用紙に自分の体の枠取りし、将来の自分の職業をイメージして絵にしていく活動)の続き。フラッグづくりは今日で終わらせるとのこと。日本語での会話を注意されながら、せっせとフラッグづくりに努めた。活動がスムーズに進んだ生徒はフラッグづくり、ボディトレーシングを無事に終えることができた。遅れがちな生徒も、フラッグまでは終えることができた。明日以降で残り1時間ほど時間があるそうだ。この様子だと、期日以内に全て完成させることができるだろう。今日の生徒たちの頑張りをTCの先生たちも褒めてくださっていた。
授業が終わると、荷物をまとめてManchester State Park(マンチェスターステイトパーク)に移動した。スタディセンターから車で15分ほど離れた場所にある広い公園だ。広い芝生の広場に散歩道、バレーボールコートなどがあり、小道を抜けると海岸へと出る。すぐそばに海があるため、車を降りるとすぐに強い潮の香りと穏やかな風が感じられた。駐車場のすぐそばに広い芝生の広場とテーブル、ベンチがあったので、そこで昼食。今日は電子レンジが使えないということを事前に連絡していたので、ほとんどの生徒がサンドイッチを持ってきていた。ちなみに私は、昨晩にステイ先で作った蟹チャーハンの残りとグリーンビーンズのガーリック炒め、オレンジクリームのヨーグルトを食べた。陽の下で風に吹かれながら食べる昼食はやはり良いものだ。
昼食を食べ終えた生徒たちは、地面が砂になっているバレーボールコートでバレーボールをしたり、日陰のベンチでおしゃべりをしたり。バレーのコートは日がガンガンに照りつけるところにあるため、砂自体もなかなかの熱さだったが、生徒たちは「動きにくいから。」と素足でバレーボールを楽しんでいた。もちろん「熱い、熱い!」と騒いでいたが、それでも皆笑顔だった。あまり得意な人がいなく、パスやトスの繋がらない様子が側から見ていて微笑ましかった。
少しの自由時間にけっこう汗を流した生徒たちだが、ここからはTCの先生たちの指示のもと、全員での活動となった。最初に行ったのは“Scavenger Hunt”(スカベンジャーハント)と呼ばれる活動。A〜Eのグループに分かれ、TCから渡されたリストに書かれているものを探してくるという活動だ。「松ぼっくり」「木の枝」「貝殻」「花」などをリストに書かれている数だけ、この広い公園内で見つけてくるという。これには、各グループにアメリカ人のホストブラザーやホストシスターも1〜2人ずつ入ってくれた。木の枝や貝殻、花などはすぐに見つかったが、一番厄介だったのは「鳥の羽根」。これが全然見つからない。1つの班は運が良いのかあっという間に見つけてきたのだが、この羽根探しで相当苦戦したグループもあった。リストのものが見つかったら、TCのチェックを受け、今度はそれらの材料と一本のロープで何か1つのものを作り上げるよう指示が出た。班の仲間と話しながら、オブジェや杖を完成させることができた。それぞれのグループが作ったものは、言葉では説明しにくいので写真で確認してもらいたい。その後は、“Catch the Staff”という活動を行った。2チームに分かれて、相手の陣地にある棒を取ってくるという遊びだ。相手の陣地にいるときに相手チームにタッチされると外野に出されるのだが、自分のチームの誰かがタッチしてくれると復活できるので、何回も棒取りにチャレンジできる。とはいえ、この活動、とにかく走り回らないといけない。そして、仲間と作戦を練らないと簡単には棒までたどり着けない。生徒たちは走りに走り、そして何人も芝生の上で転んでいた。でもとても楽しそう。身体を思いっきり動かして、大声で笑っていた。アメリカ人の子どもたちとも走り回る姿を見て、「一緒に過ごせば、それだけで友達になれるんだなぁ。」とつくづく感じた。きっとこのとき、彼らの中に国や年齢、性別、学校などの違いを気にする者は誰一人いなかったことだろう。暑い中、本当に元気に過ごしていた。彼らには申し訳ないが、このとき私はベンチに座って近くに実っていたブラックベリーを食べたり、写真を撮ったりとゆっくりさせてもらった。さすがに一緒に走り回る元気はないので…。
皆での活動が終わって、ホストファミリーのお迎えを待つ間、生徒たちは再びバレーボールをしたり、日陰でおしゃべりをしたり、バルーンやフリスビーを投げ合って楽しんでいた。3時過ぎにはお迎えが来て、スタディセンターへ移動。2家庭ほどはホストファミリーと一緒に直接家に帰っていった。今日もたくさん動いて、汗もいっぱいかいた生徒たち。少しゆっくり休んで、また明日への英気を養ってもらいたい。明日は“International Day”ということで、アメリカで生活されている日本人の方々に会う機会もある。いろいろな視点で質問を投げかけ、新しい考えを吸収し、自分の進路選択の貴重な材料にしてほしい。
今日も、昨日と同じく“smoky”な天気だ。アレルギーをもっている私のホストマザーは目の痒みが出るようで昨日から少しきつそうだ。他の家庭でもそうなのだろうか。ちなみに、日差しも強いということでホストファーザーは「これを持っていけ。」とサングラスを貸してくれた。なので朝からサングラス着用でスタディセンターに向かった。私自身、日に日にアメリカでの生活に馴染んできているのを感じる。この感覚は生徒たちにとっても同じなのかもしれない。スタディセンターで過ごすことにもだいぶ慣れてきたようだ。気づけば、このホームステイプログラムも折り返し地点に差し掛かった。慣れてきた感覚は大事にしながらも、今一度初心に立ち返るよう話をし、本日の学習が始まった。
まずはイヴォンとシェリルのクラスに分かれての授業。イヴォンのクラスは宿題の確認を一緒にして、語彙力アップのための学習。毎日新出単語を書いているノートから5つの単語を選び、その綴りに使われているアルファベットが頭文字になっている英単語をさらに書き出すという活動だった。自分の記憶をたどったり、辞書を引いたり、周囲を見渡したりすることで、さらに単語を習得するという活動だ。たくさんの英単語と出会い、さらに力をつけていけることだろう。シェリルのクラスは、フォニックス(音声学)が中心であった。今日は “ng”や、“a”と“u”とのちがいを中心に学習した。日本人が発音に手こずるものなので、この機会に身につけておくことで今後の英語学習に大きく活きてくるはずだ。今日は日記のチェックが1日分とさほど多くなかったため、私も少し授業に入らせてもらった。生徒たちの表情を見ていると、問われたことが半分くらいしか理解できずに「?」という顔をしていたので、PAとして日本語は使わずに彼らが習っているであろう単語とジェスチャーで説明することにした。また、発音についても日本の生徒が理解しづらいポイントをTCに説明してもらった。これらは、私にとっても大変勉強になった。15分間の休憩をとり、後半は『職業』についての学習をした。職業名や職業に関わる英単語を確認し合った。日本ですでに習っているものもあれば、 “government worker(s)”などあまり英語の授業で習わないようなことも学ぶことができた。それぞれの単語が分かれば、こうした連語もイメージしやすい。この感覚を大事にしながら、来週からはもっと自分からの質問が増えていくといい。
座学のあとは、席を立っての活動。今日は『職業』が学習のテーマだったので、活動は『将来の夢をイラストで表す』というものだった。1人一枚ずつ自分の身長と同じくらいの大きな広幅用紙を手元に準備する。そしてペアを作る。1人が紙の上に寝そべり、もう1人がペンでその人の枠取りをする。自分の等身大の枠取りが済んだら、そこに自分がなりたい職業の制服を着せたり、必要なものを持たせたりして職業を視覚的にイメージするのだ。ここで問題になるのが、日本の中学生はあまり夢を持っていないこと。このグループの生徒たちも例外ではなく、グループの半分くらいは「夢がない。」と語っていた。「だったら、プロのスチューデントでいいんじゃない?」とTCから助言を受けていたが、それはそれで「う〜ん…。」といった表情を浮かべていた。すでに夢がある生徒たちは、医者やビジネスマン、キャビンアテンダントなど、思い思いの職業をイメージしながらイラストを描いていた。今回もあまり時間がなく完成した生徒は少なかったが、これもさよならパーティーでのホストファミリーへのプレゼントになるそうなので、来週でしっかり完成させることとなった。
昼食になり、また少しさよならパーティーの話をした。調理グループには、さよならパーティーで調理するにあたり必要な具材や器具をリストアップしてもらわなければならない。昼食をとりながらリストを完成させてほしい旨を伝えた。すると、ちゃんとグループで話し合い、また料理の重なりがないように気をつけながらリストを作り上げてくれた。ちなみに、彼らは4つの班で「おにぎり&ちらしずし」「味噌汁&サラダ」「肉じゃが&卵焼き」「唐揚げ&天ぷら&コロッケ」を作るという。また、4つのホームステイ先を借りて調理し、再びスタディセンターに持ち寄るという流れになる。全てのホストファミリーが集まるため、全部で70人を超える人数の料理を作らなければならないのだが、さて、リストを見るとなかなかの具材の量だ。果たしてお金と時間は足りるのだろうか…。少し心配だが、後悔しないようにやれることはやってもらおう。
また、昼食時間になり、体調不良を訴える生徒が出た。寒気と喉の痛みがあるとのことで、どうやら風邪のようだ。シアトルでの研修以降体調が優れなかったようで、疲れも原因の1つであろう。少し横にして休ませたが、回復の兆しが見えないので、TCからホストファミリーに連絡をとってもらった。最終的に、彼女は午後の研修の途中でホストファミリーに迎えに来てもらい、午後は自宅療養となった。夜の野球観戦も予定していたので、体調が良くなったら参加することを確認して帰宅した。(ちなみに、夜の野球観戦には無事参加できた。体調が回復して一安心である。)
昼食が終わると、午後の活動が始まりだ。今日は“City Hall”(シティホール:市役所)と“Police Department”(ポリスデパートメント:警察署)を訪れた。ここポートオーチャードはシティホール内に警察署が入っている。ホストファミリーの協力の下、数台の車を出してもらい、シティホールまで移動。案内役の男性から、「仕事をされている方も多いので、中ではくれぐれも静かにするように!」との指示を受けて、シティホールに入った。まず私たちが案内されたのは、“City Council”だ。ポートオーチャードの人々や街のことを話し合う議会を行う場所だ。そこでは、実際に席に座らせてもらって、準備していただいたシナリオを使って生徒たちで議会を開かせてもらった。テーマは「ポートオーチャードのオーク通りにある、大きな木を切るべきか切らないべきか」であった。もちろんフィクションであるが、市長を中心に話し合いがどのように進んでいくのか、実際のセリフを言いながら議会を進めた。市長はセリフが多いので、PAの私が務め、他の議員役、意見を述べる市民役などは生徒が務めた。マイク等も使わせてもらい、貴重な経験をさせていただいた。その後、警察署の方へ。同じ建物内にあるということで、ここも静かに移動。警察官の方が来られるまで少しドアの前で待っていたのだが、案内をしてくれていた男性が実はポートオーチャードの市長であることに、生徒たちはここで気づいた。その瞬間、市長と写真を撮りたがる生徒が続出。市長は芸能人さながらにフラッシュを浴びていた。こうしたミーハーな生徒たちにも市長は大変快く笑顔で応じてくれた。ありがたいことだ。
警察署の案内は、女性警察官の方が務めてくれた。最初に、ポートオーチャードには23人の警察官がおり、3シフトの24時間体制をとっていることなどを話してくれた。生徒からも、「女性の警察官は何人くらいいるのですか?」と質問する場面もあった。施設内はさほど広くないものの、取調室や証拠品を管理する部屋を見せてもらった。また、パトカーを見せてもらったときには実際に乗せてもらうことができた。制服の説明もしてもらい、装備全ての重量がかなりの重さであることや拳銃を腰以外のところにも身につけていること、手錠は大小2つを持ち歩いていること、スタンガンの使い方など丁寧な説明を受けた。初めて知ることも多く、生徒たちは驚いたり感心したりしながら話を聞いていた。普通の海外旅行ではまず経験できないことが経験できたと思う。パトカーの前で集合写真も撮らせてもらい、生徒たちにとって思い出深い研修となったようだ。
スタディセンターに戻ってからは、センター内の片付けを行なった。この場所は毎週日曜日には教会として使われる。そのため、椅子を動かしたりゴミ箱を空にしたりした。積極的に動く生徒が多く、わずかな時間で終えることができた。暑い1日でもあったということで、片付けの後にTCの先生たちからアイスキャンディーの差し入れがあった。かなり色が鮮やかなチェリー、マンゴーなどのフルーツ味だった。暑い中を歩き回った体に程よく染み渡る冷たさで、美味しくいただいた。アイスキャンディーを食べながら、3つほど私から連絡をした。1つは「月曜日にカーウォッシュとベークセールを行うため、日本から持ってきた不用品を持ってくる」ということ。残り2つは苦言である。まず「ネームプレートを必ず付ける」ということ。環境に慣れてきたのか、今日はネームプレートを付けていない生徒が3、4人見られた。緊張感と意識の欠如はこういうところから生まれる。慣れるのは構わないが、守るべきルールは守ってもらいたいという思いを含めて話をさせてもらった。次に「もっと英語での会話を意識して行う」ということ。今朝私から「初心を思い出し、英語を使うことを意識するように。」と伝えたり、TCの先生たちからも「英語で話そう!」と数回注意されたにも関わらず、授業中に日本語でおしゃべりをする姿が見られたからだ。「休み時間の日本語での会話は良い。」ということまで伝えた上で数回注意しても改善しないのは、意識が低い証拠だ。休み時間と授業時間の区別がつかないようでは「自立した人間」には程遠い。ぜひ来週からは生徒全員が改善に努めてほしいものだ。以上の連絡を、生徒たちは真剣な表情で聞いていた。少しバツの悪そうな顔をする者、うなずきながら聞く者などそれぞれだったが、プログラムの折り返し地点の今だからこそ、もう一度自分を見つめてほしいと願う。
今夜は希望者のみであるが、野球観戦も行なった。各ホストファミリーに連れてきてもらって、ポップコーンやホットドッグを食べながら、スタジアムでの観戦。試合もなかなかの接戦で盛り上がり、攻守交代の時間のパフォーマンスもユニークで面白かった。生徒たちは思い出にと、ワシントン州のレーニアのチームのTシャツを買って笑顔で応援していた。試合後には花火も打ち上がり、週末の夜を彩ってくれた。花火が終わったのが10時過ぎだったので、それぞれがベッドに入るのは夜中近くになるだろう。ぐっすり寝て、週末もホストファミリーと元気に過ごしてほしい。
シアトルでの終日研修を終え、再び新しい1日を迎えた。カナダでの森林火災の影響で、ここポートオーチャードは晴れてはいるが何だか曇っている。こちらでは “smoky”という言い方をするそうだ。私のホストマザーからは「この影響で目の痒みが出たり、咳き込んだりする人が出てくるかもしれない。冷たい水で目を洗い流したり、必要があればマスクをしたりするように。」との話があった。スタディセンターに集まってきた生徒たちは全く問題なさそうだが、対処法について一応説明した。すると、「そういえば、うちのホストファミリーもそんなこと言っていた。」との声が上がった。ちゃんとステイ先でも会話しているようだ。しかし、昨夜に腹痛を起こした生徒が数名いたとのこと。何か共通のものを食べたのかを聞くと、フードコートのピザではないかという話になった。もちろん断言はできないが…。ひとまず、今のところ皆元気なので安心した。終日研修の疲れを引きずっている印象はあるものの、気持ちを切り替えて午前中の授業をまずはしっかり受けてもらおう。
授業はいつものように2クラスに分かれ、新しい単語の学習から始まった。この活動にもだいぶ慣れてきたのか、新しく知った英単語を英語で説明するときに別の単語でうまく表現したり、表現を付け足して伝えたりするのが上手になってきているように感じる。このホームステイで、「相手に伝えよう」とする気持ちを、行動として出せるようになってきたようだ。新しい単語を使って英文を作るには、英語力の差が大きく影響するものの、物怖じせずに表現しようと努力している生徒が多い。ときに助け合い、ときに指摘し合える良い関係が築けていると感じる。内容は、主に天気と季節についての学習だった。日本の季節を説明しながら自国について改めて想いを馳せる機会となった。天気は、どこにいても共通の話題となる。ぜひたくさんの表現を身につけて、毎朝のホストファミリーとの会話のネタにしてほしいものだ。
2時間ほどの英語の授業のあとは、いつものように『活動』の時間。座学を頑張っていた生徒たちに笑顔が生まれる瞬間だ。今日は何をするのか、いつもワクワクしながらTCが準備する姿を見つめたり、先ほどまでの学習の成果を語り合ったりするのが、彼らの中でもはや恒例となっている。今日は、“Musical Chair”(椅子取りゲーム)を行なった。様々なジャンルの洋楽に合わせて、ときには踊りながら、ときには自分の前後の人の動きを注視しながら、曲が止まるたびに勢いよく椅子に座っていた。TCのイヴォンの娘さんがとても強く、彼女との競い合いの場面もあり、大いに盛り上がりを見せた。
30分ほどゲームを楽しんだ後、TCから時間をもらい、さよならパーティーについて少し打ち合わせを行なった。このポートオーチャードグループの帰国日は15日(火)であるが、さよならパーティーは11日(金)に設定してある。思った以上に早く、その日はやってくるのだ。日本で打ち合わせていたよりも日本食をたくさん作らなければいけないことから、『調理グループ』と『デコレーション・デモンストレーショングループ』を再び分けたり、締めの全体合唱に何を披露するかを決めたり、TCにあげるプレゼントの連絡をしたりと、けっこう打ち合わせることが多かった。特に調理に関しては、買い出しのこともあるので、今週末には買い物リストを作成したい。今日はもう木曜日なので、明日完成させなければ。
打ち合わせが終わり、12時からは昼食。何だか今日の昼食時間は元気がないような印象を受ける。先日の研修と今日の授業の疲れに加え、食べ飽きてきたアメリカの食事にテンションが下がっていたようだ。中には日本食をステイ先で作ったりもしているようだが、日本のお弁当やコンビニのおにぎりを懐かしむ声が多く聞かれた。食事をしながら話をしていると、今日はいつもより短い時間で昼食の片付けを始める指示が出た。いつもは1時間ほど昼食時間があるのだが…。どうやら、午後の活動のための出発時間が迫っていたようだ。
午後からはポートオーチャードにある “Park Vista”(パークビスタ)という建物を訪れた。ここはRetirement Community(リタイアメントコミュニティ)と呼ばれる、日本でいうところの高齢者施設だ。外観はリゾートホテルのような印象で、玄関ホールを通ると、広い食堂や上へと続く階段などがあった。施設を利用される方には1人一部屋ずつ個室も設けられているらしい。生徒たちは施設の方々との簡単な挨拶を済ませると、そのまま活動部屋に案内された。この部屋で、2日前のデイケアに引き続き、日本の文化紹介を含むボランティア活動を行った。私たちが部屋に入ったときには、4〜5名ほどの高齢者の方々がいらっしゃった。生徒たちの数に比べるとだいぶ少なかったので、生徒のうちの半分くらいがまず折り紙での活動を一緒に行い、残った生徒たちは他の高齢者の方々が部屋に来られるまで、折り紙の練習などをして待つことにした。折り紙を教えるのは2回目ということもあり、先に動き出した生徒たちはアメリカ人に受けの良い動物や花、紙風船の折り紙を一緒に折っては、 “Clever!”(器用ね!)、 “Beautiful!”(きれいだこと!)などと褒められていた。施設の中には日本人の女性の方もいらっしゃって、私はその方と少し日本のことを話した。函館で生まれて、そこでアメリカ人のご主人と出会い、そのままアメリカに移住されたことや、今の日本の子供たちはとても大人びて見えること、こうしてアメリカで過ごす機会を与えた両親がすばらしいということなど、ご自身の日本での思い出なども多く聞かせていただけた。
さて、高齢者の方々と接するということは、デイケアの子どもたちと接することとだいぶ違う。特に今回は生徒たちの数に比べて高齢者の方々の人数も少なかったし、生徒たちの方から進んで距離を縮めていかなければならなかった。生徒たちの様子を見ていると、やはり積極的に声をかけたり行動に移せたりする生徒とそうでない生徒がよく分かる。何かに挑戦するとき、いくら気持ちがあったり頭で理解したりしていたとしても、わずかな時間でも躊躇すると、せっかくのチャンスを逃すことがある。今回のボランティア活動を「あまり楽しくなかった。」「英語を話せなかった。」と感じた生徒は、多分、そのチャンスを逃した生徒であろう。常に何でも準備してもらえるとは限らないのだ。与えられた環境、時間で、自分が望むものを掴む努力をしなければならない。今日のこの活動は、きっと来週行われる “Car Wash & Bake Sale”(カーウォッシュとベイクセール:車を洗ったり、クッキーを売ったりして、寄付金を集める活動)に活きてくるだろう。待ちの姿勢を卒業し、自ら一歩踏み出す攻めの姿勢に期待したい。
1時間ほどのボランティア活動を終え、生徒たちは再びスタディセンターに戻ってきた。残りの1時間は、先日から行なっているホストファミリーへのプレゼントとなる「タイル作り」もしくは「国旗&思い出のポスター作り」を行なった。ホストファミリーの都合で、2人の生徒は活動前に帰宅したが、残った生徒は完成を目指して活動に励んだ。そんな中、TCの先生たちと「活動の時間になると、生徒たちが日本語を使う場面が増えるよね。」という話になった。今日の椅子取りゲームといい、製作の時間といい、日本語でのおしゃべりが目立った。活動中に「もっと英語を使おう!」と指示を出したところ、それに応えようとする生徒もいるが、聞いていないのか気にしていないのか友達と日本語で話し続ける生徒もいる。TCの先生たちからは「来週からは日本語を使ったら、彼らのチケットを没収するシステムにしなきゃね。」という話題も出ていた。明日、生徒たちに伝えることにしよう。日本語でのおしゃべりは、せめて休憩時間だけにしてほしいものだ。せっかくのスキルアップの時間がもったいない。
明日は金曜日。午前中に授業、午後は “City Hall”(市役所)と “Police Station”(警察署)の訪問となっている。週末を楽しみにしながら、明日も充実した活動に努めてもらいたい。
今日は生徒たちが楽しみにしていたシアトルでの1日研修。スタディセンターがあるTowne Square(タウンスクエア)前に行くと、すでに大きなシャトルバスが到着していた。生徒全員が集まるまで、バスの近くでおしゃべりをしながら過ごした。「今日は暑くなりそう。」「ネームプレートを忘れてきた。」「今朝は○○を食べた。」と、仲間が集まると自然に会話が始まる。相変わらずネタには困らないようだ。9時近くになり全員が集まると早速バスに乗車。出発前に、健康観察とシアトルでの注意事項を確認した。持ち物、特に財布とカメラは肌身離さず持ち歩くこと。単独行動をしないこと。それらを伝えるとすぐにバスは出発した。今日は日本からの生徒22人とTC、PAたちだけではなく、ホストファミリーの子どもたちも参加している。総勢35人ほどの大所帯だ。シアトルにはフェリーを使って行く方法もあるが、今回は大型バスでフリーウェイ(高速道路)を利用しての移動であった。バスは順調に進み、1時間半ほどの時間をかけてシアトルに到着した。シアトルに入るとすぐに、自分たちが乗っているバスと同じバスを見かけた。どうやら他のMNCCグループのようだ。「どこのグループだろうね?」と話をしながらも、バスはシアトルの街中を進んでいく。シアトルは想像していた以上の大都会で、大きなビル、変わった形の建物がいくつも建っていた。また、Space Needle(スペースニードル)と呼ばれるタワーも見え、「機会があれば登りたいなぁ。」と話してみたが、TCの先生たちが言うには入場料がけっこう高いらしい。これは、週末に時間があったとしても諦めることにしよう。


さて、シアトルでの最初の目的地はUniversity of Washington(ワシントン大学)。レンガ作りの歴史を感じさせる雰囲気の大学で、中心には美しい噴水がある。アメリカ内外からたくさんの生徒たちが集まる学校ということで、様々な国の学生を見ることができた。青々とした広い芝生を横目に歩いていると、日本の中学生、高校生を見かけた。よく見ると胸にはMNCCのネームプレート。私たちと同じホームステイプログラムの別グループだった。噴水前に到着すると、さらに他のグループもいた。MNCCのスタッフの皆さんもいて、集合写真を撮っていた。久しぶりにスタッフの皆さんの顔を見て、生徒たちの表情にも笑顔が見られた。今日はMNCCの他の6グループもシアトルでの研修らしい。噴水前で集合写真を撮ると、再びMNCCの方からシアトルでの注意事項の確認があった。貴重品のことに加え、ホームレスやストリートミュージシャンにむやみに話しかけたりお金を渡したりしないこと。絶対に単独行動をしないこと。「ここは日本ではない!」ということを改めて強く意識する機会となった。ワシントン大学の校舎内には入らずに、再びバスで移動。ここは学科ごとに建物も違うらしく、その敷地の広さを実感しながらワシントン大学を後にした。


次にバスが止まったのは、Seattle Center(シアトルセンター)と呼ばれるところ。遠目で見ていたスペースニードルに加え、綿あめや飲み物が売っている屋台、公園、大きなフードコートが隣接しているスペースだ。私たちはここで1時間ほどの自由時間を設け、昼食をとることにした。生徒たちはフードコートに入り、ホットドックやフライドポテトなどをそれぞれに購入し、会話をしながら楽しそうに食事をとっていた。私は「たまには日本食が食べたいなぁ。」と思い、フードコートを歩き回ったが結局日本食は見つからず、中華のプレートを食べることに。すると偶然、MNCCの別グループのPAの先生方も食事をされていて、一緒に食事をさせてもらった。生徒を管理する立場の先生方にお会いするのは、台湾の空港以来のことだったので私自身、少し肩の荷が下りたような安心感を得た。お互いのグループの近況報告をしながらの情報交換。さよならパーティーでのTCへのプレゼントをどうするか、各先生方の考えを聞いてとても参考になった。食事も終わり、再び各々の生徒の活動写真を撮るために私たちは解散した。生徒たちの食事風景を撮りながら、お土産屋さんへ向かった。自分の買い物をしていると生徒たちもやってきて、「買うか悩んだ場合は買っとけ。」という教えの下で、買い物を楽しんでいた。12時45分の集合には皆、集合場所に集まり、強い日差しの下、ここでもグループ写真の撮影。MNCCのスタッフに写真を撮っていただき、バスに乗り込むと次の目的地へ。


13時過ぎにバスが到着した場所は、Pike Place Market(パイクプレイスマーケット)と呼ばれるショッピングエリア。シアトルの街の中心地である。バスを降りたところはマーケットから少し離れたところで、高架下などにはホームレスのテントがいくつかあった。TCの先生たちが話していたように、街中にホームレスが数多くいる環境がここシアトルでは普通なのだ。むやみに話しかけない、お金を渡さない、写真を撮らないなどの約束を守りながら、一路マーケットへ。ここで15時30分まで2時間ほどの自由時間。お土産を買うも良し、広いマーケットを見て回るも良し。ただし単独行動は禁止で、時間までにはウォーターフロントの広場に集まることを確認し、生徒たちは散らばっていった。パイクプレイスマーケットで有名なところと言えば、スターバックス1号店。私はお土産を頼まれていたこともあり、一目散にスターバックスへ。観光客も多く、店の前には行列ができていた。生徒たちも行列に並び、1号店のオリジナルの看板などを写真におさめていた。注文はもちろん英語。注文数も多いため、コーヒーのカップには自分の名前を書いてもらうシステムだった。生徒たちは飲み物や商品を注文しながら、自分の名前も英語で伝えた。飲み物が完成すると、店員から名前を呼ばれ、飲み物を手に店を後にする。こうした買い物にも物怖じしない態度が身についたことは、彼らの成長の証であろう。明らかに頼もしさを増している。素晴らしいことだ。


2時間ほどの自由時間を終え15時30分を迎えた頃、トラブルが発生。グループのうち5人が集合場所(ウォーターフロント)に来ないのだ。待っても一向に来る気配がないため、TCやホストファミリーが携帯電話で連絡を取り合いながら、彼らを探す。しばらくして、TCの先生の1人が「居場所が分かった。」と言って、彼らを迎えに行った。5人の生徒は完全に迷子になっていたようだ。集合場所にやって来た5人に話を聞くと、まず、あちこち歩いているうちに待ち合わせ場所が分からなくなったとのこと。それから、近くの人に公園の場所を聞いたら、ウォーターフロントとは別の公園を案内され、さらに道に迷ってしまったそうだ。集合場所時間になり「まずい!」と思った彼らは、ホテルのフロントで電話を借りた。ここで役に立ったのが、緊急時用にとスタディセンターで書いたカード。TCの連絡先や自分たちのステイ先がメモしてあるカードで、TCの携帯電話の番号をホテルのスタッフに伝え、無事に連絡がついたという経緯だ。まさか、緊急時用のカードを本当に使うことになるとは…。集合時間には20分ほど遅れ、他の皆を強い日差しの下に待たせる結果にはなったが、無事に集合できて何よりであった。また、トラブルを自分たちの力で乗り越えたことも敬意に値する。見知らぬ街で道に迷うことがどんなに恐ろしいことか、この経験もきっとこれからの人生に活きることだろう。


パイクプレイスマーケットで集合写真を撮り終えると、バスは私たちが住むポートオーチャードへの帰路に立った。迷子になっていた生徒の1人が脱水症状のような感じで体調を崩したりもしたが、帰り着く頃には回復。何事もなかったとは言えないが、全員無事にスタディセンターのあるタウンスクエアに帰り着いた。そしてホストファミリーの車で各ステイ先へと散って行った。1日中歩き回り疲れたことだろう。今夜はぐっすり寝てほしいが、今日の様子をホストファミリーとも語ってほしいところだ。また明日、彼らの元気な表情に会えることを願い、私もゆっくり休むことにしよう。

今朝のポートオーチャードも、青く澄みきった雲ひとつない空が広がっていた。天気予報では今週は暑くなるということで、生徒は多めのドリンクを持たされているようだ。今日はday care(デイケア)を訪れ、ボランティア活動をすることになっている。日本の「デイケア」というと高齢の方々をお世話するサービスを意味するが、ここアメリカでは保育園のような施設を意味するらしい。私たちが訪れたCarousel Corner(カローセルコーナー)には、小学校に入学する前の2〜5歳くらいの子どもたちと、両親が共働きのために昼間は面倒を見ることができない6、7歳の子どもたちが全部で30人くらいいた。ホストファミリーたちの協力をもらい、乗り合わせでデイケアに到着。優しい笑顔のスタッフの皆さんに案内され、生徒たちは11人ずつのグループに分かれて2つのクラスに入った。


1つは2〜5歳くらいの年少クラス。「こんにちは。」と日本語の挨拶で出迎えてくれ、CDに合わせて元気よく歌を披露してくれた。その可愛さに生徒たちの顔も笑顔でゆるむ。歌を聞いたあとは一緒に体を動かしながら歌を歌った。生徒たちは最初恥ずかしがりながら真似していたが、子どもたちの大きな目と笑顔に見つめられ、こちらも自然と体を動かすように。終わった頃には拍手をし合っていた。それから、皆で席について名前を漢字で書いてあげたり、折り紙を一緒に折ったりした。漢字はちょっと難しかったようで、折り紙のほうが興味を示してくれた。特に、紙飛行機やカエル、紙風船を作ってあげると、それを使って競争をしたり投げ合ったりしてはしゃいでいた。


一方、少し年上の年長クラスは、日本のことについての質問コーナーを設けていた。「日本の家は何でできているのか?」「日本のお金はどんな感じなのか?」など、子どもたちの質問に単語を駆使して答えていた。何人かの生徒は自分のアルバムや、日本の学校の写真、日本円を持ってきていたので、それを見せながら紹介していた。「百聞は一見にしかず」というように実物を見る子どもたちの目は興味津々といった様子だった。その後は、年少クラスと同じように名前を英語で書いてあげたり、折り紙を折ったりする時間となった。こちらは紙飛行機で盛り上がっていた。


さて、教室内で過ごしたあとは、どちらのクラスも外に移動しての活動となった。年少クラスは大きなカラーシートを使ってボールを転がすゲームや芝生の上のフラフープにお手玉のようなものを投げ入れるゲーム、シャボン玉などをした。子どもたちはシャボン玉が大好きなようで、 “Bubbles!”と叫んでは生徒たちが吹き出したシャボン玉を追いかけたり、せがんだりしていた。年長クラスは、皆で円になって手を繋いで数を数えるゲームや歌に合わせて手を叩くゲームで盛り上がっていた。走り回ったり笑い合ったりする中で、だんだんと仲も深まっていき、移動のときには手を繋ぎたがるアメリカの子どもたちの姿があった。言葉はうまく伝わらなくても一緒に何かをすること、一緒に笑い合うことで心は繋がっていく。もちろん英語を話せるに越したことはないが、コミュニケーションに何が必要かを身をもって感じる機会となった。ちなみに、活動の最後は全員が中庭に集まり、スタッフの方々から「何か歌を披露して!」とお願いされ、さよならパーティーで発表する予定だった『カエルの歌』の輪唱を披露した。そこそこ声は出ていたのだが、「歌詞や輪唱の仕組みが分からない人にしてみれば、うまいのか下手なのかが変わりづらい曲だよなぁ。これ、大丈夫なのかなぁ?」と、頑張っている生徒たちには申し訳ないが内心思ってしまった。さよならパーティーでは別の曲を歌うべきか、明日のシアトルへの移動時間で皆と話題にすることとしよう。さて、『カエルの歌』があっという間に終わってしまったので、「もう1曲お願い。」と言われた生徒たちは、続けて『ドレミの歌』を披露した。これはアメリカの子どもたちも知っている曲で、子どもたちは英語バージョンで一緒に歌ってくれた。唐突なお願いに即興でよく答えてくれたものだ。最後は、子どもたちから「ありがとう!」と日本語でお礼を言ってもらい、それぞれ大きなハグをしてくれた。この可愛さと無邪気さに、再び生徒たちは癒され、「心が浄化された!」と笑顔で話していた。デイケアを出た頃には11時を回り、日もだいぶ高くなってきていた。外でお迎えの車を待ちながら、「明日は100℉近く行くんじゃないか。」との話題になった。日本ほど湿気はないため、日陰に入ると涼しい風を浴びることができる。とはいえ「日焼け止めは必須だね。」との確認をして、車に乗り込んだ。


スタディセンターに戻って、昼食の時間。今日は何だかピザ率が高い。昨夜の夕食がピザだったのだろうか。また、カップラーメンも相変わらず多い。「けっこう美味いですよ。」と語るものの、毎日カップラーメンを食べているような気が…。日々さまざまな食事を準備してくれる日本の家族がどんなにありがたい存在か、身に染みたことだろう。染みたといえば、口内炎を訴える率も最近増えてきている。野菜不足の影響だろうか。健康志向の日本の食事の良さにも、改めて気づくことができたかもしれない。さて、昼食を取りながら私はTCの先生たちと少し語ることに。TCの家に滞在している生徒たちの様子はどうか気になったからだ。話を聞くと、ホストブラザー、ホストシスターと仲良く過ごしているようだ。ただ、まだ日本の料理は作ってもらっていないようなので、生徒たちを交えて「今週末あたりは皆集まるし都合良いらしいから、何か作ってあげたら?」と会話を振ってみた。どんなものを作ってあげるのか、報告を楽しみにしたい。


1時間ほどの昼食を終え、今日は午後からTCによる英語の学習。昨日と同じく2部屋に分かれて授業を受けた。シェリルのクラスは、宿題として各ステイ先でホストファミリーにインタビューしてきた内容を確認し合った。イヴォンのクラスは、日々の宿題である新しい10単語をもとに英文を作る活動をした。さらにそれを繋げてストーリーを作るという。また、後半はどちらのクラスもRとLの発音の違いを練習した。早口言葉を3回繰り返す活動は本当に難しくTCも大笑いしていた。これをステイ先に持ち帰れば、ホストファミリーとの会話の新しいネタになるのは間違いないだろう。15分ほどの休憩をはさみ、残りの時間はさよならパーティーで掲示するポスター作りを行なった。一人ひとりがA2ほどの広幅用紙をもらい、上半分にはホストファーザー、ホストマザーの出身国の国旗を色画用紙で作り、下半分にはホストファミリーの似顔絵や彼らとの思い出のイラストを描くとのこと。ホームステイはまだ2週間ほどあるので、今日はひとまず上半分の国旗作りを中心に進めることにした。アメリカに住んでいるとはいえ、出身国が実はドイツだったりイギリスだったりするのはいかにもアメリカらしい。皆それぞれに国旗の一覧を見ながら、真剣な表情で色画用紙を切り貼りしていた。イヴォンは「こうした活動は生徒の豊かな創造性が見えるから好き。」と話していた。今日は1時間程度しか活動できなかったので、また別の日に続きをすることになった。ステイ先ではホストファミリーが英語の先生になり、スタディセンターではTCの2人が英語の先生。今週も英語のシャワーをたくさん浴びた生徒たち。そんな彼らは今日も眠気に負けずに授業を頑張って受けていた。家に帰ってからも英語での会話が待っている。たくさん英語で話して、スキルアップにつなげてほしいと思う。

週明けのポートオーチャードの空は青く澄み渡っていて、とても清々しい。今週は90℉(30℃くらい)まで上がるらしく、私のホストマザーは「木曜からはもう長袖はいらないよ。むしろ予備の水を持っていかないとね。」と私を送り届けてくれる最中に話していた。9時近くになると、各ステイ先で週末を過ごした生徒たちがスタディセンターに集まり、朝から週末の様子を語り合っていた。


全員が集まったところで、まずは TCのイヴォンからの連絡事項を伝えた。1つはスタディセンター内のキーボードを勝手に触らないこと。設定が変わってしまって、日曜日のミサで使えなかったそうだ。「あ!」と少し申し訳なさそうな表情を浮かべる生徒の姿が印象的だった。反省を今後に活かしてほしいものだ。もう1つは、クラスルーム内のトイレは使わず、決められたところ(1階の共用トイレ)を使うということ。改めて、勝手な行動をしないことを朝から確認し合った。連絡が終わると早速、イヴォンクラスとシェリルクラスに分かれて、みっちりと英語の授業を行なった。週末に学んだ新しい英単語の確認をしたり、健康に関する表現を練習したり、音声と綴りの関係を学んだりした。先週のホリデーに関する学習といい、生活に密着した表現はすぐに活用できるので非常に便利だ。


1時間ほどそれぞれのクラスで学習をした後は、A~Eのグループごとにスキットづくりをした。ステイ先で起こりうる場面のスキットを作りながら、どのように解決するかを考える活動だ。「ホストブラザーがゲームに負けていじけてしまったら…。」「突然掃除機が動かなくなったら…。」など、与えられた状況で、どのような表現を使えばいいか、グループで話し合いスキットを完成させた。最初は恥ずかしがったり、何をすればいいか分からずにあたふたしていたが、始まってしまうと自分の役割をしっかりと果たそうとする姿があった。チームでの活動が得意な生徒たちだと、つくづく感心する。それから、ジェスチャーゲームをした。イヴォンチームとシェリルチームに分かれてのチーム対抗戦。1人ずつ前に出て与えられたテーマをジェスチャーで表現し、他の生徒たちが当てるというものだ。 “Wash the dishes.” “Cut the grasses.”などの簡単なものもあれば、 “Cook dinner.” “Tie the shoe strings.”など、意外と難しいものもあった。こういうゲームでは皆恥ずかしがることもなく、積極的に声を出す。先週よりも人前に立とうとする生徒が増えてきた印象があるのは、彼らの中に「トライ」の気持ちが育ってきているからなのかもしれない。結果は、イヴォンチームの圧勝。やはり積極的に英語を使うメンバーがいると強い。「多少の遠慮が必要では?」と思うかもしれないが、「全力で挑まないことのほうが失礼だ。」という彼らなりの考え方があるらしく、常に全力だ。日本人同士ならかまわないが、年下のホストブラザー、ホストシスターがいる家庭では気をつけてほしいものだ。


さて、生徒たちが授業をしている間に、彼らがどのような週末を過ごしたのか、日記を読ませてもらった。週末ということで、ほとんどの家庭では「ゆっくり起きていいよ。」と言われたようで、皆起きたのが10時や11時あたり。なれない環境、英語だらけの生活にかなり疲れがたまっていたのかもしれない。起きてからは、動物園で動物と触れ合ったり、シアトルの街を案内してもらったり、パーティーをしたり、海で泳いだり、教会に連れて行ってもらったりと、それぞれがホストファミリーと共にすてきな休日を過ごしたようだ。そうした中、ホストファミリーの車を洗ったり、犬の散歩をしたり、部屋の掃除機をかけたり、一緒に料理をしたりと、手伝いをした生徒たちも多かった。そういえば、「週末のうちに日本の家族に手紙を書くように。」という連絡をし忘れていた。数人の生徒は手紙を書いて、郵便局にも連れて行ってもらったようだが、きっと忘れているものもいるだろう。日本を離れてそろそろ1週間。今週末こそ手紙を全員が書くように連絡がしなければ…。生徒たちからの手紙を待っている日本のご家族には、今しばらく待っていただきたい。


昼が近づき、午前の授業が終わると2日ぶりにいつものメンバーでの昼食。今日は何だかカップラーメンを食べる率が高かったように思う。また、ヘルシー思考の生徒はサラダを食べていた。各々で食事を取りながら、週末のこと、日本のことをお互いに語り合ったり写真を見せ合ったりしていた。
12時45分からはSports Dayということで、スタディセンター近くのボーリング場でボーリングをした。ボーリングをするのは初めてという生徒がほとんどだった。予算が事前に組んであったとのことで生徒たちが支払いをする必要はなかったが、靴のサイズについてはそれぞれがカウンター内の店員に自分で伝えなければならない。「8? 8.5?」など日本の単位との違いにも戸惑いながら受け答えをしていた。さて、ボーリングは4人ずつのグループに分かれて行なった。ボールがまっすぐ投げられずに悲鳴が上げる生徒、いきなりストライクやスペアを出して両手を上げて喜ぶ生徒、ボールを後ろに投げる生徒(笑)などいろいろいる中で、100を超えるスコアを出す生徒もいて、皆から「すごい!」と声をかけられていた。初めてながらいろいろな方法でボールを投げてみたり、アメリカのエナジードリンクを飲み比べてみたり、こうした場面でも「トライ」の姿勢が見えた。


1時間ほどのボーリングを終え、1ドルショップに行くことに。日本の100円均一ショップのようなもので、食べ物、生活用品、ポストカード、文房具、デコレーションなど、多くの商品がすべて1ドルで売られていた。男子生徒はパズルやリアルなオモチャ、ミネラルウォーター、食べ物を買っていた。女子生徒は「いい匂いのするボディスプレーがたくさん!」「これ、かわいい!」「1ドルに見えない!」などと言っては、お土産ということでたくさん買い物をしていた。中には20品以上買っているものも。「明後日、シアトルでも買い物できるのに。」というと「シアトルでは自分のものを買うんです。」とちゃっかりとした返事。買い物上手だなぁ、と感心する一幕もあった。1時間ほど買い物を楽しむ時間があったが、早めに買い物を切り上げた生徒はお店の外でアイスを食べていた。ハーゲンダッツのカップも1ドルだったので、男子生徒はほとんど皆アイスを美味しそうに食べていた。日本ほど蒸し暑くないものの、夏らしい強い日差しの中で食べるアイスは本当に美味しかったことだろう。


スタディセンターに戻って、ガイドブックを配布して、今日の活動は終わりとなった。明日はデイケアで、アメリカの人々に日本の文化紹介を行うことになっている。日本で準備してきたもの、台湾の空港で打ち合わせたことを発表する機会である。1週間過ごした中で少しながら慣れてきた英語と、豊かになってきた表情やジェスチャーを駆使して、日本文化の良さを存分に伝えてほしいと思う。1人では難しいことも、皆で力を合わせて乗り越えてくれることだろう。これを終えたら、水曜日はシアトルで1日過ごすご褒美が待っている。頑張ってもらいたい。

 

目を覚ますと、今朝も窓の外は曇り空。肌寒さすら感じるポートオーチャードの気候は、日本の夏とは全く違う。半袖でスタディセンターにやってくる生徒もほとんどいなくなった。そろそろ体調を崩し始める生徒が出るのではないかと心配もしていたが、大丈夫そうで安心した。中には疲れをとり切れていない生徒もいるようだが、友達の顔を見ると安心したような笑顔を浮かべて、昨夜の出来事を語り合っていた。さて、授業が始まる前に「ホームステイでの目標」をそれぞれに日本語で書いてもらった。何をするためにホームステイに来たのかを、改めて自分に問いかけてもらうためだ。1日1日を過ごすことにいっぱいいっぱいになり、本来の目標を見失いがちであった生徒たちには必要な活動であった。「友達をたくさん作る」「消極的な自分を変える」「発音を良くする」など、それぞれの目標を語り合い、さらなるモチベーションの向上につなげてほしいと思う。


今日の学習は、昨日の高校訪問で学んだ「日本とアメリカの教室の比較」を確認し合うことから始まった。朝から積極的に発表しようとする生徒の姿があり、TCは驚きながらも感心した様子だった。毎日の新しい10単語の確認も、明らかに昨日より手を挙げていた。この姿勢がとても重要で、ぜひ続けてほしいものだ。それから、今日のウェルカムパーティーにつながる「アメリカの祝日」について学んだ。関連する単語の意味を調べながらの学習であった。日本の祝日やお祝いについても質問され、定番のクリスマスやバレンタインデー、ひな祭り、七五三、建国記念日など多くの言葉が出た。アメリカと日本で共通して祝うバレンタインデーやハロウィーン、クリスマスについては、祝い方が少し違うので、そうした違いを比較し合った。また、ポッキーの日についても説明していたときは皆楽しそうであった。祝日の学習の終わりとして、ビンゴゲームを行なった。日本での英語の授業でも馴染みがあるもので、アメリカの祝日に関連する英単語を用いたビンゴゲームだった。1列完成させるたびに「ビンゴ!」という声が響き渡り、TCからチケットをもらって喜んでいた。


午前の授業の終わりは、今後の予定についての確認だった。今週末の宿題は、ホストファミリーの歴史についてインタビューをする。それをもとに、さよならパーティーのデコレーション(国旗、似顔絵や思い出を描いたポスター)を作っていくという。また、来週月曜日からはTCの2人がグループを分けて英語の授業を行うことになり、そのためのグループ分けもあった。活動やランチは皆で行うが、英語の授業は少人数のほうが行いやすいということらしい。さらに、さよならパーティーで生徒がそれぞれのホストファミリーに送るタイル作りも午後から行うとのことだ。タイルを作るというのも、日本にない習慣でアメリカらしい。イメージを固め、すてきなタイルを作り上げてほしいものだ。


今日のランチはサラダ、ヌードル、サンドイッチ、プラム(すもも)、チェリー、セロリなどで、お互いに交換し合って食事を楽しんでいた。その中で特に盛り上がったのが、 Root Beer(ルートビア)と呼ばれる飲み物だった。アメリカの炭酸飲料なのだが、これが日本の薬の匂いにそっくりで、皆匂いを嗅いでは悲鳴を上げていた。その反応を見て、アメリカ人のホストシスターたちも大笑いしていた。昼食時間が少し余ったので、空港での時間ぶりに人狼ゲームをしたり、ホワイトボードにマンガのイラストを書いたりしていた。こういう時間を過ごせるのも、グループの皆が集まるこのスタディセンターだからこそであろう。


いつもより早い昼食を終え、午後の活動を始める前にTCの2人から「生徒たちに伝えてほしいことがある。」ということで通訳をした。その内容は、まず食事について。毎回の食事の量が多くてきつい思いをしていたり、苦手なものを無理して食べたりしていると、今後体調を崩してしまう可能性があるので、必ず自分の意思を伝えるように、とのこと。 “Too much.” “It’s OK.”などの言葉であっても、しっかり伝えることでホストファミリーも調整することができる。そしてもう1つは、積極的であること。食事が出されるのをただ待つのではなく、自分からできることを探し、自分から申し出ることで、家族としての関係がさらに深まっていく。 “Can I help you?” “I can do it.”などの言葉を添えて、自分から関わることがアメリカでの生活の基本なので、どんどん恐れずに近づいていってほしいと思う。イヴォンも「きっとこの週末で生徒たちの英語力もさらに上がることだろう。だって、英語を使うしかない環境になるのだから。」と語っていたとおり、語彙力も態度も向上する週末にしてほしい。


さて、そうした連絡事項のあとは、早速タイル作り。まずは鉛筆で下書きし、ブラシで着色をしていく。裏にはメッセージや過ごした期日や名前を添える。どんなデザインにしようか周りの人たちと語り合いながら作業をしていた。日本らしいデザインを考えたり、筆ペンで漢字を書いたり、創造力を発揮して唯一無二のタイルをプレゼントしてほしい。この時間で完成させることは当然ながらできなかったので、今後数日を使って少しずつ完成させる予定だ。タイル作りの次は、ホリデーフェアー。アメリカの代表的な祝日であるバースデー、感謝祭、イースター、ハロウィーン、クリスマス、7月4日、バレンタインデーについての紹介を、いくつかのホストファミリーがしてくれた。飾り付けるものを実際に見せてくれたり、衣装を着けさせてくれたり、歌を歌ったり、お菓子を食べたりと、体験を交えて教えてくれた。カラフルな飾りや衣装、お菓子を見て、実際の祝日のイメージを膨らませることができた。どの祝日もきっと楽しいに違いないだろうと強く思った。イースターエッグハンティングは実際にスタディセンターがあるフロアを使って行い、隠されたイースターエッグを皆興奮しながら探していた。こうしたホストファミリーの心遣いと優しさ、協力に感謝の気持ちでいっぱいだ。だからこそ、生徒たちにはホストファミリーとの生活の中でそれぞれの感謝を示してくれることを期待したい。


スタディセンターでの学習を終え、6時からはTCやホストファミリーによるウェルカムパーティーが開かれた。感謝祭の食事を実際に味わうということで、各家庭のホストファミリーが料理を持ち寄ってくれた。ターキー、スタッフィング、グリーンビーンズ、パンプキンパイ、アップルパイなどの料理をお腹いっぱいに食べながら、生徒たちは自分のホストファミリーを英語で紹介した。おいしい料理を食べながら、各家庭の子供たちと過ごした時間は本当に楽しく、「まだ帰りたくない。」と話す生徒もいた。
ウェルカムパーティーも終わり、明日からは週末だ。生徒たちは各家庭で過ごすことになる。自分にできることを見つけ、ホストファミリーとの充実した時間を過ごしてくれることを願う。彼らがどのような週末を過ごしたのか、週明けの日記を楽しみにしよう。

 

それぞれのステイ先でホストファミリーとの夜の時間を過ごし、新しい1日を迎えた。今日の空は曇っており、朝は肌寒かったため、生徒たちのほとんどが上着を羽織ってスタディセンターに集まってきた。スタディセンターに集まると、早速、昨夜どのようなことをして過ごしたのか、お互いに報告が始まった。「夕食に大きなステーキを食べた」「会話を続けるために1分ほど間が空いたりした」「大きなペットに懐かれた」「ホストブラザーやホストシスターと漫画の話をした」「1人だと会話が続かなくて大変だった」など、初日から様々なエピソードが飛び出していた。


9時になり、簡単なホームルームを私のほうで行なった。健康観察では体調の悪さを訴える生徒はいなかったが、眠気を訴える生徒はいた。環境に慣れず、熟睡できなかったようだ。また、イヴォンから「スタディセンターに来た瞬間から英語を使うように。ミスを恐れないことが大切。」との言葉もあった。日本人が集まると、どうしても日本語を使いがちである。これを早いうちから払拭していくことが大切だ。その後、イヴォンとシェリルによる授業が始まった。“What’s your first impression in America?” “What do you want to buy in America?”の質問に、辞書を使いながら答えを作っていく。最初は黙々と書いていたが、だんだんとTCに質問できるようになってきた。それから、昨日それぞれが知った新しい単語を確認する活動、テキストブックを使って場所の説明の仕方、日本とアメリカの学校の違いなどの学習を行なった。授業の間が3分しかないこと、ポートオーチャードでは小学校が1〜5年、中学が6〜8年生、高校が9〜12年で高校は1校だけなので3000人もの生徒が高校にいること、悪いことをしたら校長室から親に電話をさせられたり、すぐに退学させられたりすることなどを知り、驚いたりしていた。また、アメリカでは公立学校に子供を通わせたくない家庭は、コンピュータを使って家庭学習をし、しつけは親の力だけで身につけさせるといったスタイルをとっているところが増えてきているようだ。日本も今後このような流れを組んでいくのかもしれない。授業では、たくさんの英語にふれ、少し疲れたようだ。また、英語の理解のために辞書を必死にひく生徒もいたが、ついていけずに思考が止まってしまう生徒もいたためTCに頼まれPAとして私がサポートする場面もあった。授業の最後は、一人が与えられた題のイラストを描いて他のメンバーが答えるという活動をした。イラストが皆上手で、すぐ答えにたどり着くがお互いに英単語が出てこなかったりする場面もあり、笑ったり黙り込んだり悩んだりしていた。グループを分けての対抗戦はCherylチーム(A, C, 1/2Eグループ)の圧勝となった。こうした活動を通して生徒の積極性が見えてきた。自分から答えを発表したり前に出たりする生徒もいるが、遠慮なのか自信のなさなのか、活動に消極的な生徒が見られる。受け身の姿勢も今後の生活の中で、早めに払拭したいことの1つだ。


今日から各ステイ先から持ってきたランチを食べることになっている。私は寝坊したためホストマザーが作ってくれたサンドイッチを食べたが、生徒の中にはちゃんと自分で作ったり、カップヌードルを持たされた人、昨夜の夕食の残りのピザなど、これもステイ先によって様々だった。ただ、共通して言えることは、生徒たちにとってはあいかわらず量が多いこと。これからの生活の中で、自分の意見をしっかりと伝えることでより良い生活環境を築いてほしいと思う。


12時45分からはスタディセンターのすぐ側にあるSouth Kitsap Community High Schoolを訪問した。2750人もの生徒がいる学校ということで、日本の学校とは比べものにならないほどの広さだった。ベーシッククラスに加え、金属加工、農業、ビデオ、TVショーのクラスなどがあるそうで、そのための教室を案内してもらった。どの教室も設備がとても整っていた。また、外には本格的なフットボールグラウンド、生徒用の駐車場、プールや農場もあるそうで、話によるとワシントン州で一番大きな高校とのことだった。また、学校内の壁にはたくさんの壁画が描かれていた。科目に合わせたデザインの作品や卒業記念の作品などで、そのほとんどが高校のモチーフとなっている「狼」を基調としていた。こうした環境での学習は、生徒のモチベーションも上げることだろうと感じた。


今日の活動の終わりは、ポップコーンを食べながらの映画鑑賞。とてもアメリカらしいスタイルであった。とはいえ、もちろん映画は全編英語、日本語の字幕もない。大量の昼食をとり、広い高校を歩き回った後の生徒たちの中には少し眠そうな表情を見せるものもいた。


英語のシャワーを浴び続けた生徒たちに、ホームルームでいくつかの連絡を私から行なった。翌日持ってくるものの確認が最も大切な内容だったが、この機会にガイドブック内の「毎日の日記」に自分の感想や気づいたことをしっかり書き綴ることを伝えた。毎日新しい気づきや発見に触れるが、時間が経つにつれ、その感覚は薄まってくる。今感じているこの思いや感覚を文字で残すことが、アメリカを去るときに「このホームステイで得たものは何だったのか。」という問いの答えになる。また、誰かが話しているときには作業を止めて話を聞くこと、何事にももっと挑戦したり返事をしたりして積極性を示すことも大切だと話した。明後日から週末だ。このポートオーチャードグループのメンバーと会わずに過ごす日々となる。ホストファミリーとの2日間、気持ちを共有できる仲間も、日本語を使う相手もいない。ぜひ自分から関わっていこうという姿勢をホストファミリーに示してほしい。

 

 Quality Inn(クオリティイン)のベッドで目を覚ましたポートオーチャードグループのメンバーは、朝7時からビュッフェ形式の朝食を満喫した。自分でワッフルを焼いたり、おいしいベーグルやスクランブルエッグ、スパイスの効いたソーセージを取り分けたりして、それぞれに朝食をとっていた。美味しい朝食に朝から笑顔がこぼれる。荷物を整理するために再び自室に戻った。8時50分のロビー集合の際には、すでにTCのYvonne(イヴォン)とCheryl(シェリル)が到着していた。イヴォンは笑い声が大きな、TC経験も豊富な女性。シェリルは4人の子どものお母さんで、今回初めてTCを務めるそうだ。ちなみに2人ともホストファミリーとしても生徒を受け入れてくれている。


簡単な自己紹介のあと、早速バスに乗り込み、Study Center(スタディセンター)へ移動。晴れ渡った青空の下、小一時間バスでドライブ。フリーウェイはけっこう混み合っていたが、イヴォンによるといつもの光景とのこと。途中、パトカーや救急車を見かけ、「何かな?」と思っているとどうやら大渋滞の原因は交通事故だったことが発覚。事故の現場を見かけることとなった。とはいえ、移動中には遠くに高くそびえるレーニア山や大きなアメリカのスーパーマーケットなどを見かけ、写真を撮るなど盛り上がった。


スタディセンターはモール内のある教会の一室であった。学校のような施設をイメージしていた生徒たちにとっては意外だったようだ。センターに到着すると、イヴォンとシェリルに促され、まずは英語での自己紹介。移動中のバスのウキウキした様子とは違い、少し緊張した面持ちでそれぞれに名前や好きな食べ物を紹介し合った。TCの2人が穏やかな優しい表情で受け答えをしてくれたので、だんだん緊張感がとけてきたように思う。また、オリエンテーションでは毎日持ってくるもの、今後のスケジュール、今日の宿題、積極的に英語を使うためのチケットのルール、毎日10以上の新しい単語を書くためのメモ帳、TCとの交換日記などについて説明を受けた。チケットルールとは、自分から積極的に発表や質問をしたり、進んで手伝いをしたりした生徒にTCが渡すもので、さよならパーティーまでにたくさん集めた生徒には賞品があるとのこと。ぜひたくさん集めてほしいものだ。その後にTC、PAも一緒に参加したフルーツバスケットでは、本気で動き回り、終わった頃には息を切らす生徒たちもいたが、活動は笑顔でいっぱいだった。


ランチはイヴォンとシェリルが準備してくれたピクニック用の大きなサンドイッチとスナック。チケットルールの成果が早速表れたのか、生徒の中には進んで切り分けたりする者がいて、チケットをもらってうれしそうだった。食事中はサンドイッチの大きさとレモネードの赤色に皆、驚きの表情。たくさん食べて、皆お腹もいっぱい。ランチ終わりにはシェリルの子供たちがセンターに来てくれた。彼らの可愛さに女の子たちは「かわいい!」と歓声を上げ続け、アイドルのファンさながらに一緒に写真を撮っていた。


昼食後は、センターの近くにある消防署の見学を行なった。消防士の装備を身につけさせてもらったり、トレーニングルームや大きなキッチンのある施設を見て回ったりした。日本でもあまり見る機会がないので、施設内の写真をたくさん撮っていた。消防士の装備を身につけさせてもらった生徒たちは「重い〜!」と言いながらもとても楽しそう。消防署を出る前に集合写真を撮ったのだが、その際の隊形づくりの早さにTCが驚きと感心の表情をしていたのが印象的だった。私自身も皆の動きの良さには毎度感心する。見学後は、ダウンタウンに行って、アイスクリームを食べたり、海の見える公園で遊んだりした。くるくる回る遊具で大はしゃぎし、笑顔いっぱいの時間を過ごしたが、遊具で回りすぎた生徒たちは少し気分が悪そうだった。ともあれ、同行したホストファミリーの子供たちと走り回ったり、写真を撮ったりして、楽しい時間となった。


スタディセンターに戻って、翌日の連絡を受けていると、続々とホストファミリーがお迎えにやって来た。誰のホストファミリーかとドキドキしながらの対面。優しそうな表情に生徒たちも安心したのか、次々と笑顔で帰っていく。今夜からついにホームステイが始まる。ホストファミリーとちゃんと英語で会話できたか、宿題はちゃんとしたか、どんな夜を過ごしたのか、翌日提出される生徒たちの日記を楽しみに待つことにしよう。昨日までの疲れをしっかりと癒して、明日からの授業も今日のように頑張ってくれることを期待したい。

 午前6時。鹿児島空港には、今日から4週間アメリカのワシントン州にあるシアトルのポートオーチャードでともに過ごす鹿児島県内の中高生22人が集まった。少し緊張した様子であったものの、バスが動き出すと先日の日本でのオリエンテーションを思い出したのか、だんだんと賑やかな明るい笑い声が響き始めた。ただ、後半は長い移動と早起きのためか、疲れて仮眠をとる生徒も。バスは予定どおり9時過ぎに福岡空港に到着。これから出国手続きとなる。


福岡空港では機内にスーツケースを預けたり、手荷物検査、出国手続きを行なった。スーツケースの重量がオーバーし荷物を手荷物かばんに移し替える生徒もいたが、無事に出国手続きも完了。搭乗ゲート54番にて台北行きの飛行機を待つ。3人以上の団体で行動することをしっかりと守りつつも、楽しそうな表情で会話を楽しんでいる。女の子たちはすでに笑顔、男の子たちはまだ少し緊張と固い表情。これから慣れていくのかな?搭乗15分前の集合もしっかりでき、一安心。

台湾行きの機内では、ヌードルの機内食を食べながら映画を観たり、眠ったりと、ゆっくりとした時間を過ごした。ただし、機内食は匂いと少し甘めの味付けで完食できない生徒が多かった。(私は美味しいと思ったのだが…。ホームステイ先での食事に順応できるかが心配…。)ときおり気流の激しいところを飛ぶものの、さほど動揺することもなく無事に台北桃園国際空港に到着。次の搭乗まで10時間近くあるということで、2時間ほどの自由時間をとる。空港内を散策したり、待合室でおしゃべりやカードゲームをしたりとゆっくり過ごした。まだお店での買い物はほとんどしていないようだが、自動販売機でジュースや水を買った生徒はいたようだ。夕食はフードコートに行って、全員に英語での注文を体験させてみよう。ちゃんと自分で注文できるか、自立への第一歩となることだろう。
2時間ほどの散策のあと、時間があったので各グループでボランティア体験時に行う文化紹介の打ち合わせを行なった。日本で事前に準備してきたものの確認、司会や実演といった配役の打ち合わせを班長と学習係が中心となり取り組んだ。グループでの活動を挟んだことで、少しずつ関係も和んできたようだ。

機内食をあまり食べられなかった生徒もいたため、6時前に少し早めの夕食を空港のフードコートでとることに。フードコートにはバーガーキング、mos burger(sがひとつ足りないけれど…)などの聞き慣れたお店に加え、台湾料理やアジア料理のお店がいくつかあった。それぞれで食べたいものを英語と手持ちの日本円を使って購入し、皆で品評会。小籠包やヌードルは特に美味しかったようだが、アイスティーの甘さやアジア料理の味付けの薄さ、接客の様子から日本との違いに戸惑い、早くも「やっぱり日本がいい!」と母国の良さを感じたようだ。食後は時間を持て余している様子だったので、グループで協力して空港内にあるA~Zまでの英単語を探すグループワークに挑戦!英単語探しゲームはEグループの勝利となった。というのも、どのグループも協力し合ってA~Zまで全ての頭文字で始まる単語を見つけたのだが、固有名詞が少なかったのがEグループであったからだ。アメリカでの生活では、多くの言葉に触れてその意味を予想したり、視覚からの情報と組み合わせて意味を推測したりする場面が多くある。気付きの視点と推測する力を大事にしてアメリカ生活を過ごしてほしいと思う。そうした話をした後、EグループにはMNCCの酒井さんから勝利の証としてm&mのトロフィーが送られた。飛行機との搭乗まで3時間程度まだ時間がある。仲が深まってきた仲間たちと、ゆっくりしたり人狼ゲームやUNOをしながら今しばらく台湾での空港で過ごす。それにしても、皆元気。人狼ゲームにほとんど全員が参加したことで、お互いの名前を覚え、仲もだいぶ深まったようだ。
夜中11時40分。ついに台湾からアメリカのシアトルへのフライト。シアトル到着までは11時間ほどあったが、機内ではさすがに疲れたようで眠っている生徒が多かった。なかには映画やドラマを見て過ごす生徒も。機内食が2回出て、1回目のビーフメインの食事は美味しかったと好評だった。長いフライトを経て、ついにアメリカでの入国審査。

ここで、MNCCの大人数が同じ宿泊先という点に疑問をもたれ、PAの私は警官に呼ばれ、事情説明をすることになった。生徒たちは警官に連れて行かれる私を見て、ただでさえ初めての入国審査に緊張していたのにさらに戸惑ったことだろう。悪いことは何もしていないので足止めを食らったものの無事に入国できた。子供たちは滞在日数や入国目的のを"23days.""Sightseeing."などと緊張しながら伝え、14歳以上は指紋と顔写真のチェックを受け、全員が入国。そこから荷物を受け取り、モノレールで空港内を移動。外に出て、本日宿泊するホテルQuality Inn(クオリティイン)のバンを待つが、ここでまた時間を取られ、部屋に入ったのは夜11時近くとなってしまった。日本のように時間どおり、予定どおりとはなかなかいかないようだ。
さて、宿泊先のクオリティインでも再びトラブルが発生!自動販売機にお金を入れても反応がなかったり、シャワーの使い方が分からずあたふたしたり、泊まる部屋が確保されていない生徒がいたりと、夜中まで慌ただしい時間を過ごした。いかに日本が丁寧で安心できる国であることかを再び学んだことだろう。12時過ぎにはやっとゆっくり横になって眠ることができた。さて、明日はいよいよTCやホストファミリーとの対面。ぐっすりと眠って、明日からまた元気に活動しよう!

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